日立製作所の子会社「日立プラントサービス」(東京都豊島区)が、残業代未払いで、富山労働基準監督署から是正勧告を受けていたことがわかった。勧告は2月27日付。労働組合が3月28日、東京・霞が関の厚生労働省で会見し、明らかにした。
●残業時間「100未満にする様に」メール
日立プラントサービスは、空調設備の設計販売などを行っている会社。労働組合の「労災ユニオン」によると、今回是正勧告の対象となったのは、同社の北陸事業所(富山県高岡市)が管轄する富山県内の現場。従業員数人に対し、残業代未払いによる労働基準法37条違反の是正勧告が出された。
今回の勧告は、同社に勤める30代男性が1月28日に申告したのがきっかけだった。男性はパソコンのログから、2018年10月は123時間、11月は142時間、12月は172時間の時間外労働を行っていたと主張している。
しかし、すでに時間外労働時間が99時間になっていた12月19日、会社の上司から「本社総務より100未満にする様に連絡が入っています」とメールがあり、残業時間を調整するよう指示されたという。男性は「会社に忖度する形で、隠れ残業に走っていることは明白。過少申告の指示をさせられる人も被害者」と話す。
会社の勤怠表では、男性の時間外労働は、2018年10月は59時間、11月は99時間、12月は105時間となっている。
男性はこうした長時間労働が発生する背景として、高すぎるノルマ、業務量過多、人員不足が理由だと指摘。「忙しくなればなるほど会社と争うことが負担になるので、隠れ残業せざるをえない状況になった」と打ち明ける。
男性は「会社は労働環境の問題から目をそむけないでほしい。口では呼びかけているが、それに見合った対応がされていないので隠れ残業が蔓延している」と改善を訴えた。
●日立製作所「対応を実施済み」
日立製作所は弁護士ドットコムニュースの取材に対して、「日立プラントサービスが是正勧告を受けたことは事実です。指摘事項については対応を実施済みです。是正勧告を真摯に受け止め、グループ会社における労働時間管理ならびに健康管理を徹底してまいります」とコメント。残業代支払いの対象人数と金額については明らかにしなかった。