コンビニオーナーでつくる「コンビニ加盟店ユニオン」は3月6日、セブン-イレブン・ジャパンに対し、本部と加盟店との利益配分の見直しなどを求め、団体交渉を申し入れた。
申し入れ後、参議院議員会館で記者会見を開いたユニオンの酒井孝典委員長は「加盟店で実験したからといって、人手不足が解決する訳ではない。加盟店は大きな看板を抱えているが、多くが零細商店だ」と訴えた。
●加盟店も短縮実験対象「一定の評価」
今回の申し入れでは次の4点について回答を求めた。
(1)直営店での営業時間短縮実験に加盟店も加える
(2)短縮営業であれば、デイリー商品の見切り販売を実施しなければならないのではないか
(3)一律午前7時から午後11時までの短縮実験は地域のニーズに合っていないのではないか
(4)人手不足の原因は、24時間営業だけが原因ではなく、セブン-イレブン・ジャパンと加盟店との利益配分に偏りがあるためで、利益配分の見直しも同時に必要ではないか
セブン-イレブン・ジャパンは3月中旬から、全国10のセブン直営店で24時間営業をやめる実験を始め、営業時間は午前7時〜午後11時で、売上の変化などのデータを集める。3月5日には、短縮実験にフランチャイズチェーン(FC)加盟店も加える方針を決めたと日本経済新聞で報じられた。
加盟店も加える方針になったことは、ユニオンも報道で初めて知ったという。セブン-イレブン・ジャパンはユニオンに対し「ユニオンからの要望ではなく、短縮実験に関する報道で加盟社からの問い合わせがあったため動いた」と話したという。
酒井さんは加盟店も加える方針について「一定の評価はしている」としながら「どのような店を入れて、どのような条件にするのかはわからない」と話し、客観性のある実験を求めた。
コンビニ加盟店ユニオンが労働組合と認められるかどうかは現在、中央労働委員会で審議されており、近く結果が出る見通しだ。今回の申し入れは要望書という形で受け取られ、回答は出せないと言われたという。
武蔵大学経済学部の土屋直樹教授は「直営店だけで考えれば、深夜営業をやめると損になるが、加盟店の多くでは儲からないデータが出ている。深夜営業をおこなっているから全体の売り上げを確保しているという本部の主張に根拠があるのか。それを確かめてもらいたい」と話した。
●コンビニ減ったら困るのは誰?
「精神的にも肉体的にも経済的にも、加盟店は限界に達している」。酒井さんは加盟店の現状についてそう指摘する。コンビニは災害時の受け入れなど「社会インフラ」の役割も担っているが、人件費など加盟店側の負担は増え続けている。
加えて、日本にはフランチャイズチェーンを規制する法律がない。この点について酒井さんは「内容のあるフランチャイズ法ができることで、本部と加盟店に一定の緊張感が生まれる。管轄省庁も明確になれば、コンビニが請け負っている行政サービスも持続可能な形で続けられる環境ができるのではないか」と法整備の必要性に言及した。
酒井さんはこうも呼びかける。「日本からコンビニが減ることを考えてみてください。今のシステムのままでは、その可能性もある。それで困るのは誰なんですか」