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「時短はみんな評価C」頑張るママの心折る上司 日弁連、ムービーで警鐘
会見する山村清治弁護士(2018年12月5日、弁護士会館)

「時短はみんな評価C」頑張るママの心折る上司 日弁連、ムービーで警鐘

日本弁護士連合会は12月5日、弁護士会館(東京・霞が関)で定例会見を開き、職場で起こる可能性がある「ハラスメント」事例を描いたWebムービーを作成したと発表した。部下と中間管理職それぞれの目線から、苦しい胸の内をリアルに表現した。日弁連のWebサイト(https://www.nichibenren.or.jp/activity/nichibenrentv/tv_cm.html)で見ることができる。

●中間管理職にも深い悩み

ムービーでは、産休明けで時短勤務をする浜木淳子(役名)が、限られた時間のなかで人一倍頑張るものの「時短勤務の人はうちではみんな評価Cなんだよ」などと、課長の香坂英夫(同)から告げられ、仕事のモチベーションが下がってしまう様子が描かれている。

雑用ばかり任されることに対し、浜木が不満を伝えると、「文句ばかり言うな」「君の仕事だろ。これができないなら君がいる意味は」などと強い口調で香坂に言われ、浜木の心が折れていってしまう。

その後、浜木は「パワハラ」と職場に告発をする。ただ、実は浜木の勤務評価を「C」と決めたのは香坂の上司にあたる部長で、香坂はその部長からパワハラについての事情聴取を受けることになる。十分な反論もできず、パワハラ行為が問題視されて香坂には課長補佐への降格辞令が出され、耳鳴りやめまいなどに悩まされるようになってしまう。

●時短勤務を理由とした差別は問題

会見で、ムービーの作成に関わった山村清治弁護士(日弁連公設事務所・法律相談センター委員会委員長)は「裁判という時点からはまだ遠い事案だが、弁護士に相談するのは知識を整理したり心の不安を取り除いたりするだけでなく、自分の置かれた状況を第三者の立場からわかるという意味でも効果的だ」と話した。

実際、ムービー内の浜木や香坂のような悩み・問題を抱えている当事者から相談を受けたらどうするのかーー。山村弁護士は私見と断ったうえで、浜木については時短勤務を理由とした差別は問題で、弁護士が出向いて職場の上司とかけあうことが考えられるとした。

また、香坂については、中間管理職としての課長がつらい立場に置かれているなどの状況があり、パワハラ発言だけを捉えての降格なら、会社に処分の再考を求めることが可能ではないかとの見解を示した。

(弁護士ドットコムニュース)

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