仕事中に毎日業務用のパソコンからアダルトサイトを閲覧ーー。神戸大の職員が2年間で約1220時間、1日あたり1〜3時間ほどアダルトサイトを見ていたとして、停職6カ月の懲戒処分を受けた。
神戸大学によると、処分されたのは40代の男性事務職員。2017年12月に「パソコンで不適切なものを見ている」という差出人不明の投書があり、調査委員会を設置。2年分のログを調べたところ、勤務時間内に約730時間、時間外に約490時間、イラストSNS「pixiv」のアダルトコーナーを中心に見ていたことが分かった。
神戸大学は昨年5月にも、仕事中にアダルト動画を見ていた別の男性事務職員を懲戒処分にしている。ネットでは「みんなで見れば怖くない?」「せめて自分のスマホで」などの声が上がっているが、こうした社員や職員がいた場合、懲戒解雇にはならないのだろうか。西口竜司弁護士に聞いた。
●学校側の処分はやむなし
「第一印象を述べますと『えっ』というのが一番です。結論から申し上げますと学校側の処分はやむなしです。
労働契約法15条は、『使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする』と規定しています。
今回の事件は、業務用のパソコンで遊んでおり、しかもそれがアダルトサイトということです。神戸大学も公表しているように、同大の職員就業規則に規定されている『正当な理由なく、しばしば欠勤、遅刻、早退するなど勤務を怠った場合』『大学の設備、物品等を私的に利用』に該当しますから、客観的に合理的な理由は認められるでしょう」
●学校に対する被害の程度は大きいとまではいえない
では、どの程度の処分が妥当なのだろうか。
「処分にはけん責、減給、出勤停止、懲戒解雇等が考えられるところです。
今回の件ではあまりにも閲覧時間が長いことから重い処分もやむを得ない反面、学校に対する被害の程度は大きいとまではいえません。そのため、懲戒解雇は行き過ぎであり、長期の出勤停止が妥当であると考えます」
●程度によっては懲戒解雇の可能性も
処分は閲覧の頻度など程度によって、変わるだろうか。
「はい。短時間であれば軽い処分である『けん責』などが妥当であると考えます。一方で、何度もサイトを閲覧しウィルス感染をしてしまったような場合や全然仕事をしなかったような場合、周囲の女性等に迷惑を掛けたような事案になってくると懲戒解雇の可能性も出てくるでしょう。
こうした職員や社員は困ったものですね。会社としてはアダルト制限をかけると同時にIT研修等を開催して、このようなことが起こらないようにして頂きたいです。今回は私の地元の有名大学の事案だけに悲しい限りです」