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「どこにも行くところないよ」解雇期限を迎えたインドカレー店、従業員が営業続行
解雇期限当日も「駒込本店」は営業中だった

「どこにも行くところないよ」解雇期限を迎えたインドカレー店、従業員が営業続行

東京・駒込などにあるインドカレー店の外国人従業員15人が、運営会社から店舗退去と解雇を突きつけられているとして、インターネット上で反響をよんでいる。運営会社側からは6月20日を期限として通告されていたが、従業員たちは、通常通りの営業をつづけている。

従業員の1人、ジョシさん(48歳・インド人)は、弁護士ドットコムニュースの取材に「給料を払ってもらったら、ほかの仕事を探したり、インドに帰ることもできる。でも、お金がないから、どこにも行くところがないよ」と苦しげな表情をしながらも、今後も店の営業をつづける意思を示した。

●日本人客「よく2年も我慢できたねえ」

問題になっているのは、東京・駒込や大塚などで5店舗を展開するインドカレー店「シャンティ」。「私達は6月20日で解雇・お店閉鎖を通告されています。賃金も2年払われていません。皆さん助けてください」という張り紙が、6月中旬にツイッターで大きな話題となった。

解雇期限とされる20日正午に駒込本店を訪れると、男女10人以上の客が入っていた。サラリーマン風の日本人男性3人組の客が、張り紙を見ながら「よく2年も我慢できたねえ。私だったら、給料が1カ月止まっただけでも、イヤになっているよ」などと大きな声で話していた。

ジョシさんによると、店の入り口の張り紙を見て、状況に引いてしまったのか、そのまま帰ってしまう人もいるそうだ。売上は下がってきており、一部の従業員からは「張り紙をやめよう」という意見もあったが、「しばらくはこのまま店に張りつづけるつもり」(ジョシさん)という。

●「店舗から退去しなさい」という通告

運営会社が6月上旬、ジョシさんたち外国人従業員に文書で突きつけた「通告」はつぎのような内容だ。

「あなたがたは、売上金を会社に引き渡さず、勝手に仕入れをし、店舗を運営しています。又、賃貸の店舗に、寝泊まりしたり、会社関係の業務を妨害する等、不法行為にあたりますので、以下の通り通告します。

1、仕入れ行為をせず、直ちに店舗の営業を停止しなさい。

1、これまで約1カ月分の売り上げを直ちに会社に引き渡しなさい。

1、2016年6月17日までに、店舗から退去しなさい。

あなた方が以上の通告に従わない場合は、民事・刑事の責任が発生する可能性があることを通告します」

ジョシさんによると、実際の退去・解雇の期限は6月20日だという。

●会社との交渉はすすんでいない

ジョシさんたちは「社長は売上を持っていっていた」「昨年から、給料がろくに払ってもらっていない。今年はまったくもらっていない」と反論する。店に寝泊まりしているのも、会社が借りていたマンションの部屋から火事で焼け出されて、住むところがないからだと説明している。

ジョシさんたちは労働基準監督署に相談し、運営会社の社長に対して、未払い賃金や残業代を支払ってもらうための交渉をしようとしている。だが、その社長とまともに連絡が取れない状況がつづいている。ジョシさんが社長の携帯にかけたところ「いま病院にいる」と言われて切られたという。

言葉が不自由な従業員たちの通訳として、ジョシさんたちを支援しているバングラデシュ人のアミンさん(52)は、弁護士ドットコムニュースの電話取材に「きょうも労基署に行ったけど、まだ交渉はすすんでいない。かわいそうとしかいえない。最悪の状況。法的なアドバイスがほしい」と述べた。

ジョシさんによると、従業員たちは労基署のほか、法テラスや外国人専門相談センターなどで弁護士にも相談しているという。

(弁護士ドットコムニュース)

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

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