労働環境の改善を求めて、ネット通販の「アマゾン」日本法人の従業員数人が労働組合を結成した。NHKの報道によると、イギリス、フランス、ドイツなど欧州各国でも結成されており、日本が5カ国目になるという。
日本の労働組合によると、アマゾンの日本法人では、仕事の成果を出せない従業員に「業績改善プラン」が課されることがあるという。達成できない場合は事実上、退職に追い込まれるということで、相談があいついでいた。
労働組合の結成に関するニュースはときどき耳にするが、実際にはどうやって作ればいいのだろうか。労働問題にくわしい野澤裕昭弁護士に聞いた。
●2人以上で規約づくり、結成大会をして成立
「労働組合を作るのは難しくありません。労働組合は団体なので、もちろん1人ではできません。しかし、逆に言うと労働者が2人以上集まり、労働条件の維持向上を目的として団体を結成する合意があれば、それで出来上がりです」
何か細かな条件などはないのだろうか。
「単なる合意だけでもいいのですが、労働組合法の保護(不当労働行為制度等)を受けるために、同法の要件を満たす組織にしたほうがよいですし、そうした組合が一般的です。
まず、組合員となる仲間と、組合が実現しようとする労働条件などを話し合い、要求をまとめる必要があります。労働法や組合活動について学習会をすることも必要でしょう。共通の要求を確認したら、組織として活動するために組合規約を作成します。
規約には、名称や組合の住所、総会の開催、組合員の権利義務などを記載します。労働組合法5条に最低限定めるべき事項が書かれているので、そちらを参照してください。規約などができたら、最後に結成大会を開催して、正式に組合ができます」
会社に対しては、何もアプローチしなくてもよいのだろうか。
「たしかに、組合の結成後、使用者つまり会社に通告するのが一般的です。しかし、通告する義務はないので、別に通告しなくても構いません。また、組合結成の通告をした場合、使用者が組合員名簿を要求してくることがあります。しかし、組合側には、組合員の範囲や名前を明らかにする必要はまったくないので、気を付けてください」
結成は簡単にできても、会社との交渉など、結成後の運営はかなり難しいのではないか。
「そうですね。組合を作るにあたって、既にある労組に援助を求めることも考えたほうがいいかもしれません。単独で組合活動をするよりも、上部団体に加盟して大きな組織力を持つほうが有利だからです」
野澤弁護士は、このように話していた。