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「女性1名」慶應大名誉教授のバイト募集に批判の声「男女雇用機会均等法を知らないの?」
慶応義塾大学(aki / PIXTA)

「女性1名」慶應大名誉教授のバイト募集に批判の声「男女雇用機会均等法を知らないの?」

慶應義塾大学の学生団体「共済部」がツイッターに投稿した「女性限定」のアルバイト募集がSNSで波紋を広げている。

共済部は1月18日に「慶應義塾大学名誉教授様からのアルバイト募集案内です。応募をご希望の方は直接ご連絡ください」とアルバイト募集の内容を画像付きでツイートした。

名誉教授による募集は、「科学研究費の経費支出書類の作成」や「図書館での研究資料のコピー」を仕事内容とし、三田キャンパス(東京都港区)の学生を対象としたものだ。

問題視されているのは、「募集人数1名 女性」という記載だ。文字通りに受け取れば、男性の募集をしていないことになる。

SNSでは、こうした募集内容に「女性限定にする合理的な理由がなければその求人違法ですよ」「①慶應義塾大学共済部は、男女雇用機会均等法を知らない ②法律は知っているが教授に忖度せざるを得ない どっち?」など批判的意見が寄せられている。

●募集・採用における男女差別は禁じられている

男女雇用機会均等法では「事業主は、労働者の募集及び採用について、その性別にかかわりなく均等な機会を与えなければならない」(5条)と定め、性別を理由とする差別を禁止している。

厚労省が示すルールにおいては、以下のようなケースを法違反だとしている。

(1)募集・採用の対象から男女のいずれかを排除すること
(2)募集・採用の条件を男女で異なるものとすること
(3)採用選考において、能力・資質の有無等を判断する方法や基準について男女で異なる取扱いをすること
(4)募集・採用に当たって男女のいずれかを優先すること
(5)求人の内容の説明等情報の提供について、男女で異なる取扱いをすること

ほかにも、「募集・採用に当たって、労働者の身長、体重または体力を要件とすること」 などの条件の募集も、合理的な理由がない場合は「違法」としている。

今回のように、女性だけを対象として、男性を排除するような募集をすることは法律違反に該当すると考えられるだろう。

●違反にならない限定的なケースもある

他方、業務の遂行上、芸術・芸能分野や守衛・警備員など、一方の性でなければならない職務においては、性別を限定して募集もできる場合があるが、今回は事務作業が中心であり、あてはまらない可能性が高い。

なお、18日午前11時50分ころに投稿されたツイートは、同日午後5時15分時点で見ることができなくなっていた。

その後、共済部のアカウントが新たにツイートを投稿した。教授から希望があって投稿を削除したとする経緯の説明とともに、謝罪するものだった。

〈本日このアカウントで掲載したアルバイト求人募集要項の内容が不適切とのご指摘を受け、依頼者様からのご希望で投稿を削除させていただきました。様々な企業様から掲載依頼を頂いているため、内容は皆様方に全てお任せしていますが、確認不足により不快な思いをされた方にお詫び申し上げます。〉(慶應義塾大学共済部のツイート)

(1月18日午後6時44分、共済部の新しいツイートについて追記しました)

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