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弁護士が『こども労働法』に込めた思い 「法律は人を縛るものではなく守るもの」
山下敏雅弁護士(左)と笠置裕亮弁護士(東京都、2022年9月、弁護士ドットコム撮影)

弁護士が『こども労働法』に込めた思い 「法律は人を縛るものではなく守るもの」

子どもたちに向けて「働き方にまつわる法律」を解説した『こども労働法』(日本法令)が9月20日、出版された。子どもの事件を多く取り扱う山下敏雅弁護士と労働事件を専門にする笠置裕亮弁護士がタッグを組み、小学生でも読めるよう「働くとはなにか」から説明している。

本には全てルビが振ってあり、出版後、大人からも「読みやすい」という声が寄せられたという。笠置弁護士は「これまで労働に関する本はかたいものが多かった。それでは、子どもはもちろん大人も読まない。あるようでなかった本で、幅広い層に手に取ってもらえるのではないか」と話す。

●YouTuberの働き方についても解説

当初、教科書のように労働法を網羅的にまとめる予定だったが、「子どもたちが興味を持てるように、身近な大人たちが働くなかで遭遇する疑問を順に並べるべき」という山下弁護士の提案で構成をがらりと変えた。

法律がある意味とはなにか。就業規則や契約とはなにか。子どもたちのなりたい職業ランキングで上位に入るYouTuberの働き方についても解説している。

過労死防止の啓発事業で高校生に講演することもあるという笠置弁護士は「高校生向けの講演はあるものの中学生はあまりない。働くのが先の話というのも一つの要因だが、小・中学生に適した本がなかったということもある」と話す。

山下弁護士も「労働法のことに限らず、大人が子どもたちに社会や法律の仕組みについて伝えていくべき責任がある。中学生や高校生からではなく、むしろ小学生のときから伝えていかなければならないと思う」と訴える。

ルールや法律は人を縛るものではなく、守るものである——。山下弁護士が大学で講演すると、「法律は自分を縛ってくるものだと思っていたので、守られるものということに驚いた」という感想がたくさん寄せられるという。

「その意識を小学生の頃から変えてほしい。1人1人が大切にされる社会のために法律やルールがあることを実感してもらいたい。今、実際働いている大人たちにも伝わるといいですね」。

●【動画】「小学生にこそ届けたかった」著者二人に聞く

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