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タバコ休憩多すぎ!「不平等でやりきれない」の声 1日90分休む猛者、法的には?
(Ushico / PIXTA)

タバコ休憩多すぎ!「不平等でやりきれない」の声 1日90分休む猛者、法的には?

最近はタバコの吸えない場所が増えて喫煙者にとっては厳しい時代となっていますが、職場のタバコ休憩にも厳しい目が向けられています。弁護士ドットコムには「タバコ休憩の多すぎる社員がいる」という相談が寄せられました。

●【相談】他の社員にも悪影響です

ある契約社員の女性が、1時間に10分〜15分ほどタバコ休憩をしています。1日合わせると、休憩以外で1時間半ほどになります。社内に禁煙室があり、そこに入り浸ってスマホをみたり、事務所に聞こえるくらいの大きな声で大笑いしたりしていて、真面目に仕事をしている者からしたら不平等でやりきれません。

あの人は、好きな時間に好きなだけサボっているのに、私たちは真面目に仕事していて、やっていられない。はっきり言って辞めてもらいたい。他の社員にも悪影響です。所長に何度も訴えましたが、改善されません。

●【回答】場合によっては懲戒の対象に(金井英人弁護士)

そもそも「休憩」とは、労働時間の合間に仕事から完全に解放して心身を休ませるために確保される時間のことで、労働者は休憩時間を自由に過ごしてよいものとされています。イメージとしては食事をするための休憩時間などがこれにあたり、休憩時間中は給料が発生しません。

また、「休憩」とは別の概念として、「休息」というものがあります。これは法律に定めはありませんが、仕事の合間のわずかな時間に息抜きをするような場合をいいます。

イメージとしては席を立って伸びをしたり、一旦手を休めて飲み物を飲んだりというものがこれにあたりますが、勤務時間中にとるため、仕事から解放される「休憩」とは違い、給料が発生しています。

労働者は雇用契約上、仕事に専念する義務を負っていますから、休息の取り過ぎなど仕事に支障をきたす場合には、雇用契約上の義務違反になってしまう可能性があります。

喫煙を「休憩」時間中にすることは問題ありませんが、ご相談のケースでは、決められた休憩時間外にも1時間に10分~15分、1日で1時間半ほども喫煙をしているとのことですので、それが「休息」として許容されるかがポイントとなります。

さすがに、頻繁に10分以上も仕事から離れてしまうと仕事に支障をきたしますので、ご相談のケースは妥当な「休息」とはいえないでしょう。そうすると、雇用契約上の義務違反になり得ますし、場合によっては懲戒の対象にもなり得ます。

給料が発生する勤務時間中に何度も仕事を離れて喫煙をする人がいると、その時間も働いている他の従業員からすれば不公平と感じるのも致し方ないことです。

それだけでただちに解雇ということにはなりませんが、会社としては、これを放任すると職場環境を悪化させてしまうおそれがありますので、頻繁に喫煙をする従業員に対して、仕事に専念する中で適切な「休息」を取るように、毅然と指導するべきでしょう。

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

プロフィール

金井 英人
金井 英人(かない ひでひと)弁護士 弁護士法人名古屋法律事務所 みどり事務所
愛知県弁護士会所属。労働事件、家事事件、刑事事件など幅広く事件を扱う。現在はブラックバイト対策弁護団あいちに所属し、ワークルール教育や若者を中心とした労働・貧困問題に取り組んでいる。

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