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コンビニオーナー、「団交権」求めて控訴「裁判所はもっと実態見て」
東京地裁・高裁の入る合同庁舎

コンビニオーナー、「団交権」求めて控訴「裁判所はもっと実態見て」

コンビニのフランチャイズ(FC)オーナーに団体交渉権が認められるかどうかが争われている裁判で、オーナーらでつくる「コンビニ加盟店ユニオン」は6月17日、団交権を認めなかった東京地裁判決を不服として控訴した。

発端は、同団体のセブンイレブンオーナーがセブンに団体交渉を申し入れ、拒否されたこと。2014年、岡山県労働委員会は、オーナーは労働組合法上の労働者に当たるとして団交を命じたが、2019年の中央労働委員会で一転して労働者性を否定する命令が出たため、裁判で取り消しを求めていた。

6月6日の一審判決は、

「販売価格を最終的に決めるのは加盟者自身であり、実態として、推奨売価での販売が強制されていることをうかがわせる事情は見当たらない」
「OFC(編注:本部の店舗経営相談員)の指導・助言は、FC契約違反に係るものでない限り、加盟者に対する契約上の拘束力はなく、加盟者がOFCの助言に従わなかったことを理由として加盟者がFC契約上又は事実上不利益な取扱いを受けたとの事実を認めるに足りる証拠はない」
「加盟者は、商品の販売・サービスの提供について、独立した事業者と評価するに相応しい裁量を有していると認めるのが相当」
「FC契約を締結する加盟者が一般的に長時間にわたる店舗運営業務に従事することを余儀なくされているとか、FC契約上、加盟者が長時間にわたる店舗運営業務に従事することが予定されているなどと認めることはできない」
「加盟店の営業日・営業時間に制約があるからといって、加盟者の労務提供が時間的に拘束されているとはいえない」

などの理由から、コンビニオーナーは労組法上の労働者とは認められないとした。

●オーナー「判決は議論の流れを無視」

コンビニをめぐっては、経産省が2019年に「新たなコンビニのあり方検討会」を設置。2020年の報告書では、オーナーの過重労働などへの指摘もあった。

また、同年には公正取引委員会が全国のコンビニ約1万2000店舗へのアンケート調査結果を公表している。

コンビニ加盟店ユニオンは今回の裁判で、公取の調査結果を証拠として提出し、労働時間の長さなどから、オーナーには独立の事業者性が認められないなどと主張したが、裁判所は回答が全体の3割ほどだったことなどを理由に、実態をそのまま示すものとは評価できないとした。

控訴について、コンビニ加盟店ユニオンの佐藤桂次執行委員長は、「地裁判決は、これまでの議論を無視し、後退させる内容だった。もっと実態を見てほしい」と語った。

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