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コロナ禍でも飲み会、マスク未着用の社員たちに不安…有期雇用でも退職はできる?
こんな職場は嫌だ!(Fast&Slow / PIXTA)

コロナ禍でも飲み会、マスク未着用の社員たちに不安…有期雇用でも退職はできる?

コロナ禍にもマスク未着用や飲み会をする社員がいるなど、採用された会社の労働環境に不安がある人が「有期雇用契約ですが、途中で退職できますか?」と、弁護士ドットコムに相談を寄せました。

相談者は6カ月間契約社員として働いた後、正規雇用されることを条件で、現在働いている会社に入社しました。しかし、事前に聞いていた話より悪い労働環境であったため退職したいと考えています。

その会社ではマスク未着用だったり飲み会をしていたりと、コロナ禍なのにこのような職場に居るのは辛いと相談者は話しています。更に喫煙室以外でタバコを吸う社員の存在にも強いストレスを感じています。

有期雇用の契約期間満了前であっても退職することはできるのでしょうか。金井英人弁護士に聞きました。

●途中で退職はできる?

ーー有期雇用の場合、途中で退職することはできないのでしょうか

有期雇用契約の場合、期間満了まで勤務を続けることを前提に会社と雇用契約を結んでいますので、契約期間の途中でも自由に退職できるわけではなりません。

もちろん、会社が退職を承諾する場合には契約期間の途中でも退職できますが、拒否された場合には退職できないということになります。

ただ、契約期間内は絶対に退職できないというわけではなく、法律上は、退職することについて「やむを得ない事由」がある場合であれば、契約期間の途中でも退職することができるとされています(民法628条)。

ーー「やむを得ない事由」とは、具体的にどのような事情でしょうか

「やむを得ない事由」とは、病気や怪我で働けなくなった場合や、急激な生活環境の変化で働けなくなった場合、給料が支払われない場合などが考えられます。

ほかにも、職場環境が劣悪だったり、ハラスメントが横行していたりするケースも、程度によっては「やむを得ない事由」があるといえるでしょう。

感染症対策を著しく怠っている職場や、分煙が全くなされていない職場は、そうしたケースにあたる可能性があります。

ーー相談者が「やむを得ない事由」を理由に、退職できる可能性もあるのですね

「やむを得ない事由」があって契約期間内に退職する場合は、即時に、しかも一方的に退職をすることができますが、果たして「やむを得ない事由」があったといえるのかについて、会社と争いになる場合があります。

期間の途中で一方的に退職し、出勤しないようになったにもかかわらず、会社から「やむを得ない事由」にあたらないのに勝手に仕事を放棄したとみなされて、損害賠償を請求される危険もあるのです。

有期雇用契約の期間内に退職をしたいけれども会社に拒否されてしまった場合には、一方的な退職が可能なケースかどうか、専門家に相談されることをおすすめします。

プロフィール

金井 英人
金井 英人(かない ひでひと)弁護士 弁護士法人名古屋法律事務所 みどり事務所
愛知県弁護士会所属。労働事件、家事事件、刑事事件など幅広く事件を扱う。現在はブラックバイト対策弁護団あいちに所属し、ワークルール教育や若者を中心とした労働・貧困問題に取り組んでいる。

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