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「はりのむしろで仕事している」教員ら学校を提訴、懲戒処分の無効求め
会見に出席した原告と元生徒(2020年11月11日、東京・千代田区の厚労省、弁護士ドットコムニュース撮影)

「はりのむしろで仕事している」教員ら学校を提訴、懲戒処分の無効求め

中学校・高校の教員が11月11日、運営する学校法人橘学苑(横浜市)を相手取り、懲戒処分の撤回などを求めて、横浜地裁に裁判を起こした。220万円の慰謝料なども求める。

提訴後の会見で、私学教員ユニオンに加盟する教員らは「教育の質の低下が起きれば、一番の被害者は生徒だ」と話した。

●これまでの経緯

原告は、橘学苑に10年以上勤務する男性教員のAさん(52)とBさん(40)だ。

橘学苑をめぐっては、雇い止めによる非正規雇用教員の大量退職問題が、2019年3月ころから、新聞などメディアで報じられた。

訴状や会見での説明によると、橘学苑は、同年4月20日、この問題について保護者説明会を実施した。

橘学苑からは、無期転換ルールによる雇い止めなどの事実はないという主旨の説明がなされたというが、これに対して、Aさんは「嘘を言われちゃ困るんですよ」などと反論。また、Bさんは、説明会の一部をタブレットで撮影・録画していた。

橘学苑は2020年2月6日、発言と撮影が、就業規則や服務規律規定に違反するとして、原告に対して懲戒処分(けん責処分)を通知したという。

●裁判の理由

同年3月3日と19日、原告らは、懲戒処分への異議申し立てを議題のひとつとして、団体交渉を実施したが、3月25日、職員室に両名の「懲戒処分」が告知されたそうだ。

原告らは、懲戒処分には合理的な理由がなく、無効と主張。裁判を起こすに至った。

教員のBさんは「客観的な証拠をおさえたいという思いで撮影をした。間違ったことをしていると思いません。身の潔白を証明したいし、生徒と保護者と向き合える教育現場であってほしい」と話す。

教員のAさんは、保護者説明会での行為によって、生徒募集に悪影響があり、責任を取れという風潮が学内にあると話す。「私たちは毎日はりのむしろで仕事する状況です」

また、原告が、東京新聞(5月31日付)の取材に答えたことを理由に、懲罰委員会が立ち上げられたという。

原告の代理人を務める嶋崎量弁護士は「いずれ懲戒解雇する布石である」と指摘する。

私学教員ユニオンの佐藤学さんは、安心して教員が働けない状況は「教育の質の低下につながり、一番の被害者は生徒だ」と主張する。

会見後、編集部の取材に、橘学苑は「まだ情報がきておりませんので、コメントできません」とした。

(11月11日午後6時40分編集部追記) 被告に誤りがあり、訂正しました。

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