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2020年08月27日 09時54分

何かと批判されがちな「ワーケーション」、労働者にプラスの制度にするためには?

何かと批判されがちな「ワーケーション」、労働者にプラスの制度にするためには?
画像はイメージです(mits / PIXTA)

新型コロナウイルスの影響で大企業を中心にテレワークが普及するなど、働き方が変わる中、政府は「ワーケーション」の推進に取り組み始めている。

「ワーケーション」とは、仕事(Work)と休暇(Vacation)を組み合わせた造語で、休暇中に旅先などで仕事をするという働き方だ。

2020年7月に開催された観光戦略実行推進会議でも、「ワーケーションの推進」が議事となった。政府としては、アフターコロナの地域経済活性化も見据え、感染リスクの低減に資する休暇の分散化、ワーケーションなどの新しい旅行スタイルの普及を図りたいようだ。

とはいえ、ワーケーションは要するに旅行先でのテレワークであり、仕事している限りでは紛れもなく「労働」だ。ワーケーションの利点や課題などを労働問題に詳しい山田長正弁護士に聞いた。

●休暇に関する選択肢も増え、より働きやすくなる

ーー「労働」の観点において、ワーケーションの利点は何でしょうか

「会議など1週間のうち1日だけは休めない日があるような場合でも、この制度を使えばその日以外は休むことができます。その結果、長期の休暇を取得しやすくなり、休暇に関する選択肢も増える以上、働きやすさが向上するでしょう。

また、仮に従業員がワーケーション制度を利用しなくても、会社がそのような制度を導入したこと自体、休暇の取得を促進している姿勢の表れとも言えます。従業員にとってはより働きやすい環境になると思われます。

もちろん、会社にとっても、ワーケーション制度の導入により、採用率向上に伴う人手不足の解消や離職率の低下、無駄な会議の廃止等を通じ、一定のメリットもあります」

●労働時間の把握や情報管理の徹底が難しいという面も

ーー課題はどのような点にあるでしょうか

「まずは労働時間の管理です。ワーケーションはテレワークと同様に、職場で勤務状況を目で見て確認したり、タイムカードなどで労働時間を把握することができません。

労働時間は従業員の自己申告が原則となります。しかし、本当に従業員が申請した時間通りに就業しているかが不明であり、従業員の労働時間や残業時間の把握が困難になります。結果として、適正に人事評価を行うことができるのかという問題も生じます。

すでに一部企業では、ITを活用して新たな労務管理システムを構築したり、人事評価制度についてもいわゆるジョブ型(給与は就いているジョブで決まり(職務給)、どのような職務を担当しているかという仕事の内容と難易度(ジョブグレード)によって細かい基準で給与が決定される)を導入している企業もありますが、まだまだ少数です」

ーー旅先ですと、テレワークより「脱線」の誘惑が多いかもしれません

「そのようなデメリットも当然考えられますね。また、情報管理上の問題もあります。

ワーケーション制度を導入するのであれば、ノートパソコンには必ずパスワード設定を行わせたり、社外に持ち出す資料も最小限にするなど、情報漏洩のリスクを最小限に抑えた上で、制度を利用させる必要があります。

さらに、休暇時にも『ワーケーション制度を利用するように』などと、社員に指示することも認めるかどうかも検討が必要です。ワーケーション制度の導入により、労働者にとって休暇の意義が損なわれることがないよう配慮が必要です」

ーー「業務上災害(労災)」の適用はどうなるのでしょうか。たとえば、あらかじめワーケーション制度を利用することを会社に伝えた上で、旅行先に向かっている最中に起きた事故には適用があるのでしょうか

「今後、国としてワーケーションを取得しやすくするために、労災を認めやすくする方向に動くのか否か、現時点では不透明です。

ただし、ワーケーションのために旅行先に向かっている最中に起きた事故については、現在の実務を前提にすれば、たとえば仕事として荷物を運ぶ場合や物品を移動中に監視するなど移動自体が仕事と見なされる場合を除いては、使用者の指揮命令が及んでいないと評価され、原則的に労災として認定される可能性は低いでしょう」

取材協力弁護士

山田 長正弁護士
山田総合法律事務所 パートナー弁護士
企業法務を中心に、使用者側労働事件(労働審判を含む)を特に専門として取り扱っており、労働トラブルに関する講演・執筆も多数行っている。

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