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2020年01月05日 09時53分

「子どものため」魔法の言葉が呪縛に・・・忙しすぎて退職を考える「20代教員」の訴え

「子どものため」魔法の言葉が呪縛に・・・忙しすぎて退職を考える「20代教員」の訴え
画像はイメージです(EKAKI / PIXTA)

「教員ってなんなんだろうと思い、​感情的ではありますが、ラインをさせて頂きました」。こんなメッセージが弁護士ドットコムニュースのLINEに届いた。

メッセージの送り主は、関西圏の中学校教員の女性(20代​)だった。「一刻も早く教員も人の仕事として扱われてほしい」と訴える女性は、「もう今年には退職しようかと思っています。このままの生活では自分や自分の家族を大切にできない気がするからです」と打ち明けた。

「この仕事は大好きです。とてもいい仕事だとほんとに思います。でも、教員のボランティア精神を頼りにして、なんとか回り続けてきた現場に限界がきているのだと思います」。女性のもとを訪ねた。

●「『仕事ができない人や』と思われた方が、土日も休みは自由になる」

「教員になりたい」と猛勉強し、現役合格した女性を待っていたのは、過酷な労働だった。

1年目から2つの部活副顧問を任された。​初めはただ言われるがままに仕事をしていたが、膨大な慣れない仕事と土日の部活も重なり、体がしんどくなった。

大きな行事が続く2学期に、さらに体調を崩した。土日も休まず仕事をしていたところ、体が悲鳴をあげ、朝起き上がれなくなった。目は覚めてもどうしても出勤の準備ができなかった。

そんな日々が続き、なんとか仕事は続けたものの、部活顧問に関しては声をかけられなくなった。いわゆる「戦力外」だ。最初は部活に行けていないことに、後ろめたい気持ちがあった。土日に仕事をしに行っても、他の先生からは「部活が大変」という話が聞こえてくる。でも、今は「いいポジションを手に入れた」と思うようにした。

「『できない人』と思われた方が、土日も休みは自由になる。部活の話になると若干気まずくて居づらいけど、それでも、無理やり行きますっていったら自分が持たない。最近は割り切るようになった」

●部活動ガイドライン「規制逃れ」

夫も教員だが、部活漬けだ。女性に話を聞く日に一緒に同席してくれる予定だったが、部活を抜けられず来られなくなった。

国の部活動ガイドラインの趣旨に基づき、女性の夫が働く自治体でもガイドラインが策定された。学期中は、週あたり2日以上の休養日を設け、土日のどちらかは休養日とし、 1日の活動時間は、平日では長くとも3時間、学校がない日は3時間程度とされている。

しかし、実際には「規制逃れ」が横行している。女性の夫が顧問を勤める運動部では、ガイドライン通り年間の活動計画が事前に提出されているが、保護者名義の「クラブチーム」が作られ、学校から見えないところで変わらず活動している。

平日6時に自宅を出て、帰宅が23時になることもざら。帰宅後、お風呂に入ったらご飯を食べ、すぐに寝る。疲れ切っていて、会話する時間もほとんどない。上下関係から断ることもできず、土日も朝から部活動に出ていく。そんな姿を見て、「こんな仕事おかしい」と思う。

●教職員組合に入ったが…

女性は「組合費を出してでも、この環境をどうにかしたい」と教職員組合にも入った。

「私たちの勤務時間は午前8時半からなのに、なぜ8時前から出欠の電話対応をして、8時半より前に出勤して教室に行かないといけないのか」。そんな思いをぶつけると、50代の組合員は「なるほどな」と言った。

「自分たちがこの環境で慣れてしまっているから、現状のおかしさに気がつかないのかなと思いました。異常な状態が当たり前になると、このままなんも変わらんと思いました」

●「子どものため」という魔法の言葉

学年会議では「子どものことを考えたら、こっちの方がいい」という意見の方が「正義」だ。「子どものため」という魔法の言葉がある限り、省力化する方向には進んでいかない。

女性は「この仕事は大好きで、とてもいい仕事だ」と言う。子どもたちに元気付けられることも、たくさんある。その一方で、退職を考えるのは、教員の仕事は家庭と両立できないと思うからだ。子どもがいる職場の教員からは、たとえ早く退勤しても、家でテストを作ったり、子どもが寝てから仕事をしたりして、間に合わせていると聞く。

今後、学校への私物パソコン持ち込みが禁止されることになった。個人情報の流出を防ぐ目的だというが「仕事を持ち帰れず、さらに家庭と仕事との両立が難しくなる」と感じている。

「教員の優しさや正義感に甘えた良心頼りの仕事ではなく、ちゃんと人間らしい仕事になってほしいなと思います。将来を担う子どもたちのために頑張ろうとしている若者も、もう限界かなと思います。私もそうですが、現場はいい方向には変わらないと諦めています」

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