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忘年会での「PPAP」強要「ピコハラ」に警戒の声…パワハラではないのか?
ピコ太郎さん

忘年会での「PPAP」強要「ピコハラ」に警戒の声…パワハラではないのか?

今年、世界的に大ヒットしたシンガーソングライター・ピコ太郎さんの楽曲「ペンパイナッポーアッポーペン(PPAP)」。インターネット上では、忘年会などでPPAPのモノマネを強要されそうだと怯える人から「ピコハラだ」という声が上がっている。

インパクトのある曲調から、忘年会の余興にはぴったりのように思えるPPAP。しかし、ツイッターでは「忘年会ピコ太郎やる的な流れになって全力で拒否してる」「職場の飲み会で4回もペンパイナップル歌わさせられた。PPAPハラスメントだ」といったつぶやきが見られ、PPAP強要を苦痛に感じている人は少なくないようだ。

忘年会でのPPAPなどの一発芸強要は、パワハラにあたるのだろうか。田村ゆかり弁護士に聞いた。

●一発芸強要はパワハラ?

「忘年会での上司からの部下に対する一発芸強要が、違法なパワハラ、つまり不法行為(民法709条)として損害賠償責任を負うのかどうか、考えてみましょう。

まず、職場でのいわゆるパワハラと言われる行為の中で、仕事と関係がない単なるいじめ・嫌がらせの場合は、部下が受けた被害の種類・程度と、上司の行為との相関関係によって、社会通念上許される限度を超えた場合に違法となります。

これに対して、上司が持っている権限と関連している、たとえば『部下のミスを指摘して改善させる』といった行為はどうでしょう。部下の心理的負荷などを過度に蓄積させるような行為は原則として違法ですが、合理的な理由に基づいて、一般的に妥当な方法と程度で行われた場合は正当な職務行為と言え、違法とはなりません」

田村弁護士はこのように述べる。

「また、一口にパワハラと言っても、その態様は様々です。暴行したり傷害を負わせるなどの身体的な攻撃はもちろん、無視や仲間はずれもパワハラに含まれます。言辞(言葉や態度)による攻撃の場合は、それが上司の職務権限の範囲内なのか、権限の濫用となるのかが問題となります」

忘年会での一発芸強要は、「権限の濫用」と考えられるのだろうか。

「たとえば、これまでの忘年会で一発芸が慣例として行われてこなかったにも関わらず、上司が執拗に特定の部下に対して一発芸を強要するような場合は、違法なパワハラとされることもあるでしょう。

これに対して、毎年その年度の新入社員が一発芸を披露することが恒例となっている忘年会で、新入社員に対して『PPAPをやってはどうか』と提案したにすぎないような場合は、違法なパワハラとは言えないでしょう」

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

田村 ゆかり
田村 ゆかり(たむら ゆかり)弁護士 でいご法律事務所
経営革新等支援機関。沖縄弁護士会破産・民事再生等に関する特別委員会委員。

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