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「なぜ自分が無戸籍か、親に聞いても教えてくれない」 日弁連「無戸籍者」電話相談
日弁連がホットラインの実施結果を報告した

「なぜ自分が無戸籍か、親に聞いても教えてくれない」 日弁連「無戸籍者」電話相談

何らかの事情で戸籍をもっていない「無戸籍者」を対象にした一斉電話相談が、日本弁護士連合会によって11月中旬に実施され、全国から96件の相談が寄せられた。そのうちの10件は無戸籍者本人からで、「地方を転々としてきた。自分の戸籍があるのだろうと思うが、わからない状態である」「父母になぜ自分が無戸籍か聞いても教えてくれない」といった悲痛な訴えがあった。

日本で生まれたのに出生届が出されなかったため「無戸籍」の状態にある人は、全国で少なくとも677人いる(法務省調べ・2015年10月10日時点)。それらの無戸籍者を対象に、日本弁護士連合会は11月11日に「全国一斉無戸籍ホットライン」を実施。12月2日、その結果を明らかにした。

96件の相談のうち、無戸籍者本人からは10件。無戸籍者の母親からも49件の相談があった。「(別れた元夫と)長く別居している間に出産した。夫以外の男性の子である」「離婚未了だが、1歳の子どもに戸籍をあげられないか? DVで逃げてきており、離婚のための交渉や裁判はできない」などの切迫した内容だった。

●「無戸籍は重大な人権問題を生じさせる」

民法の規定で、離婚後300日以内に生まれた子どもは、前夫の子と推定される。それを避けたい母親が、出生届を出さないなどの理由から、子どもが無戸籍になるという背景がある。戸籍がないことで、健康保険証やパスポート、運転免許証などの取得や、アパートやマンションの賃貸契約が難しいなど、さまざまな不都合が生じている。

日弁連の村越進会長はこの日に開いた記者会見で「無戸籍問題は、教育、医療、結婚、就職などで様々な困難を抱える、重大な人権問題を生じさせる。引き続き相談に応じて、戸籍取得まで支援をしていきたい」と述べた。

日弁連によると、96件の相談のうち、35件を継続相談につなぐことができたという。今後は、全国すべての弁護士会で相談窓口を設けて、継続的に相談に応じていくという。

(弁護士ドットコムニュース)

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