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「夫が不倫して家を出ていった」 別居中の妻は「生活費」を払ってもらえるか?
母親がひとりで子どもを養っていくことは容易でない

「夫が不倫して家を出ていった」 別居中の妻は「生活費」を払ってもらえるか?

「夫が不倫をして、半年前に離婚だと言って出ていってしまいました」。そんな悩みが弁護士ドットコムの法律相談コーナーに投稿されていた。この女性は仕方なく別居しているそうだが、夫が勝手に給料の口座を変えてしまい、生活費が入らなくなったのだという。

「離婚しているわけではないので、養育費を請求することもできない」と嘆く女性。こんな場合、別居している夫に生活費を請求することはできるのだろうか。それとも、別居している以上、自分で働いて生活費を稼ぐしかないのだろうか。離婚問題にくわしい大和幸四郎弁護士に聞いた。

●夫婦である間は「生活費」をもらえる

「夫婦生活をしていくうえで必要な費用を『婚姻費用』と呼びます。夫婦には法律上、それぞれの収入などに応じて婚姻費用を分担する義務があります」

分担義務があるということは、生活費も払ってもらえるのだろうか

「そうですね。離婚していない以上は夫婦ですので、夫は婚姻費用を分担する義務、すなわち、専業主婦の妻に対して生活費を支払う義務があります。

婚姻費用については、同居している間はあまり問題となりませんが、夫婦関係がうまくいかずに別居した場合には大きな問題になることが多いですね」

女性は夫に対して、別居中の生活費を支払うよう要求すればいいわけだ。

「はい。夫に婚姻費用を請求して、支払ってくれれば、それで問題ありません。ところが、夫が支払ってくれないケースも少なくありません」

●家庭裁判所に「調停」を申し立てるのがよい

夫が支払ってくれない場合は、どうすればいいのか。

「そういう場合は、家庭裁判所に、婚姻費用分担の調停を申し立てることになるでしょう。

調停でも話がまとまらない場合は、家庭裁判所の審判を求めることになります。審判では、裁判所が調査のうえ、適当と思われる婚姻費用の支払いを命令することになります」

夫が調停や審判の内容に従わなかったら・・・

「もし夫が、調停や審判で決められた婚姻費用を支払わなかった場合は、さらに裁判所に申し立てて、夫の財産に強制執行をかけることも可能です。

一刻も早く支払いが必要な場合には、応急処置として、婚姻費用分担の審判を申し立てて、『審判前の保全処分』を申し立てるという方法もあります」

どれぐらいの金額が認められるのだろうか?

「ケースバイケースですが、たとえば夫の浮気が別居のきっかけになっている場合は、必要とされる生活費がそのまま認められることが多いでしょう」

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

大和 幸四郎
大和 幸四郎(やまと こうしろう)弁護士 武雄法律事務所
佐賀県弁護士会。2010年4月~2012年3月、佐賀県弁護士会・元消費者問題対策委員会委員長。元佐賀大学客員教授。法律研究者、人権活動家。借金問題、相続・刑事・男女問題など実績多数。

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