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布川敏和・つちやかおり夫妻が別居――「不倫」した妻に「親権」は認められるか?
不倫が原因で離婚にいたる夫婦は少なくない

布川敏和・つちやかおり夫妻が別居――「不倫」した妻に「親権」は認められるか?

元シブがき隊の俳優・布川敏和さんの妻で、タレントのつちやかおりさんが5月1日、記者会見をおこない、布川さんと別居していることを明らかにした。週刊誌で「不倫」を報じられたつちやさんは、「妻として母として言い訳のできない軽率な行為」とその事実を認めるとともに、「一昨年の冬に末娘と家を出た。大きな覚悟を持って出たつもり」と語り、離婚への意思を示した。

報道によると、布川さんとつちやさんには3人の子どもがいる。上の2人は成人しているが、末娘はまだ中学生だという。もし離婚ということになれば、未成年の子どもの親権が問題となる。法律上は、夫か妻のどちらか一方に親権者を決めなければいけないのだ。

通常は、妻が親権者となることが多いが、妻が不倫をしていた場合はどうなのだろうか。自らの不倫が原因で離婚することになった場合でも、妻は親権を主張できるのか。離婚問題にくわしい佐々木未緒弁護士に聞いた。

●子どもにとって、何が一番よいのか

「親権の判断は、『子の福祉』が重視されます。すなわち、子どもにとって、何が一番よいかという点が重要なのです」

このように佐々木弁護士は説明する。

「子どもの立場にたって考えてみると、これまで主に自分の世話をしてくれて、一緒にいる時間が長かった親と一緒にいるほうが安心できる、ということになります。そのため裁判所では、虐待などの問題が特にないかぎり、『現状維持』をさせることが多いのです」

つまり、親権の決定においては、子の福祉の観点から「現状維持」が優先されるということだ。では、どちらか一方が不倫していた場合は、どうなのだろうか。

「結論から言うと、不倫の有無に関係なく、主に子育てをしていた親のほうが、親権者として認められやすいという現状があります」

佐々木弁護士は、こうキッパリ語る。

「たしかに、不倫された夫の側からすれば、『不倫するような妻に子どもを預けておくことなんてできるか!』『不倫されて、そのうえ子どももとられたら、踏んだり蹴ったりじゃないか!』と腹立たしいことでしょう。

しかし、子どもの立場にたってみれば、親が不倫をしているかどうかよりも、いつも十分な愛情を与えて育ててくれているかどうかが重要だといえます。

それまで、ずっと一緒にいた親とは離れたくないと思うでしょう。まったく新しい環境で、暮らさなければならないことは辛いですからね」

どうやら、不倫と親権は「別の問題」ということのようだ。そして、「現状維持」が優先されるということからすれば、離婚するときに子どもと一緒に住んでいるかどうかが重要といえるのだろう。

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

原口 未緒
原口 未緒(はらぐち みお)弁護士 弁護士法人 未緒法律事務所
東京弁護士会所属。心理カウンセリング・アカシックリーディングも併用しながら、こじらせない円満離婚の実現を目指します。著書『こじらせない離婚―「この結婚もうムリと思ったら読む本」(ダイヤモンド社)

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