天皇即位のたびに元号を制定するのは、憲法13条が保障する「個人の尊厳」を侵害して違憲だとして、弁護士やジャーナリストら3人が3月26日、国を相手取り、元号制定の差し止めを求めて、東京地裁に提訴した。原告によると、元号制定を違憲とする訴訟は初めて。
原告は、長野県の山根二郎弁護士(82)、東京のジャーナリスト・矢崎泰久氏(86)ら3人。訴状によると、3人は、国による元号制定が、国民一人ひとりが有している「連続した時間」を切断し、憲法13条が保障する「個人の尊厳」や「人格権」を侵害すると主張している。
●「元号制定に必然性がない」
提訴後、原告3人は、東京・霞が関の司法記者クラブで会見を開いた。山根弁護士は「元号制定によって、国民は『天皇在位の時間』に閉じ込められ、世界史(西暦)とつながっているという意識がぶつ切られることになる」と述べた。
また、元号の年度を覚えていても、何年前のことかすぐにわからず、「時間の意識の喪失状態に陥っている」という(山根弁護士)。一方で、「象徴天皇制」を否定しているわけではなく、あくまで元号制定に必然性がないからだ、と強調した。
新元号をめぐっては、政府は4月1日、発表する予定としており、現在の皇太子が即位する5月1日から改元することになっている。原告は、5月1日以降に「新元号は無効だ」という主張も付け加えるとしている。