この春の京都大学の入学式で、ボブ・ディランさんの歌の一節をとりあげた山極寿一総長の式辞が、京都大学の公式サイトで掲載されていることに対して、楽曲を管理しているJASRAC(日本音楽著作権協会)が著作権使用料を請求したと一部で報じられている。
一方、JASRAC側は、弁護士ドットコムニュースの取材に対して「あくまで利用状況について問い合わせをしただけで、具体的な請求はしていない」とコメント。著作権使用料の請求については明確に否定した。
●京大側も「使用料の請求はなかった」と説明
4月7日におこなわれた京都大学の入学式で、山極総長は新入生に向けて式辞を述べた。山極総長はこの中で、「自由な発想」を示す例として、米ミュージシャンのボブ・ディランさんの「風に吹かれて」の歌詞をとりあげた。京都大学は同日、歌詞が含まれた式辞を公式サイトに掲載した。
京都大学広報課によると、5月に入って、JASRACから、利用状況の確認と手続きに関する連絡があった。その際、使用料は求められていなかったという。京大広報課の担当者は「どんな根拠で手続きが必要になるのかわからなかったので、対応するかどうかの検討もしていない。困惑すらしていない」とコメント。当初からボブ・ディランさんの歌詞である認識があり、公式サイトのページ末尾に「引用」という文言も入れている。
JASRACによると、一般論として、ウェブ上では、営利目的がなくても著作権が働くことから、たとえ大学であっても手続きが必要な場合があるという。JASRAC広報課の担当者は「私どもが管理する著作物がウェブに掲載されていることを確認したので、利用状況について問い合わせし、一般的な利用手続きについてご案内した。具体的な請求はしていない。請求という話が一人歩きしているのは当事者双方にとっていい話でない」と困惑していた。