2024年の東京都知事選で、選挙ポスター掲示板に自身の顔写真と、性的な虚偽情報を含む動画へ誘導するQRコード付きのポスターを掲示されたことで名誉を傷つけられたとして、政治団体「みんなでつくる党」代表の大津綾香氏が、新たに国会議員やユーチューバーら5人を提訴した。
大津氏とその代理人が8月31日、東京・霞が関の司法記者クラブで会見を開き、明らかにした。動画の制作やSNSでの拡散、ポスターの掲示などに関わったとして、5人に計1375万円の損害賠償を求めている。
大津氏は今年6月にも、自身のポスター枠をNHK党に使わせたとして、弁護士の福永活也氏を提訴しており、一連の問題で民事上の責任を問うのは計6人となる。
●2024年にはNHK党の立花氏ら2人を刑事告訴
2024年の都知事選では、政治団体「NHKから国民を守る党」(NHK党)が多数の候補者を擁立し、選挙ポスター掲示板に大津氏の顔写真を使ったポスターを大量に掲示した。
ポスターには、大津氏に関する性的な内容を含む虚偽情報を流す動画へ誘導するQRコードも記載されていた。
これに対し、大津氏は2024年9月、NHK党の党首だった立花孝志氏とユーチューバーの男性を名誉毀損の疑いで刑事告訴した。
今年6月には、自身のポスター掲示枠を立花氏に使わせたとして、都知事選に立候補した福永弁護士に330万円の損害賠償を求めて提訴している。
●動画の制作・拡散に関わったとして5人を追加提訴
今回、大津氏が新たに訴えたのは、参院議員の齊藤健一郎氏や元参院議員の浜田聡氏、ユーチューバーの男性ら5人。
問題となった動画の制作やネット上での拡散、都知事選のポスター掲示などに関わったとして、計1375万円の損害賠償を求める裁判を東京地裁と広島地裁に起こした。
訴状によると、大津氏が問題視したのは、ユーチューバーの男性が運営するYouTubeチャンネルに2024年6月、「【政治パロディアニメ漫画】立花孝志VS大津綾香 まとめ」のタイトルで投稿された動画だ。
動画では、大津氏がSMプレイを内容とする政治資金パーティーを開いたとする内容が紹介されていたという。
●QRコード付きポスターを2500枚以上掲示か
大津氏は訴状で、政治資金パーティーを開催した事実はなく、すべて虚偽であるにもかかわらず、立花氏や、当時NHK党に所属していた齊藤氏、浜田氏らがXにこの動画へのリンクを投稿するなどして、不特定多数を動画の閲覧に誘導したとうったえている。
さらに大津氏側は、2024年の都知事選で24人の候補者を擁立したNHK党が、大津氏の顔写真と動画へ誘導するQRコードを掲載したポスターを東京都内に少なくとも2500枚掲示したと主張している。
今回訴えた5人のうち、残る2人は都知事選の候補者だった。大津氏は、この2人についても、自身のポスター掲示枠への張り出しを許容したり、積極的に張り出し作業に関わったりしたほか、自身のYouTubeチャンネルなどで動画を拡散したとして、責任を問うている。
●大津氏「国会議員や弁護士が加担した事実を重く見て」
大津氏は8月31日の記者会見で、次のように話した。
「最近、政党や政治家が公然と選挙を利用してデマや誹謗中傷をばら撒くようになっています。それが容認されてきた前例を作り上げてきたのがNHK党です。(今回の裁判では)参院議員や弁護士などが加担していた事実を裁判所は重く見てほしい」
代理人の石森雄一郎氏は、立花氏や、NHK党から都知事選に立候補した他の候補者についても、今後、法的責任を問うことを検討していると明らかにした。
●浜田氏「争点は表現がどこまで許され、損害が認められるか」
浜田氏は弁護士ドットコムニュースの取材に対し、「係属中の民事訴訟における当方の認識の範囲で回答します。個別の認否の詳細は法廷で行います」としたうえで、次のようにコメントした。
<対象動画のリンクを、私のXアカウントで投稿した事実は認めます。 当該動画が、政治資金パーティーの「企画」にとどまらず「開催」にまで踏み込んだ描写を含んでいたことも、認識しています。 民事上の争点は、投稿の有無そのものではなく、当時その描写を真実と信じるにつき相当の理由があったか、表現としてどこまで許されるか、損害が認められるかだと考えています。 2024年6月当時、私が依拠したのは主に次の公開情報です。 2023年3月18日の大津氏自身の配信で、献金パーティーの企画例として「私に鞭で打たれるのに1万円」との発言がありました。同月、関係者のLINE上に「大津綾香 鞭打ち1万円・亀甲縛り10万円」との企画案が示され、X上で流通し、党の内紛の端緒として当時語られていました。加えて、企画内容と関連づけて語られる写真もX上に出回っていました。 これらの情報から、私は当時、問題の企画が単なる机上の冗談では終わっていないと認識し、動画のリンクを投稿しました。 現在も、献金パーティーの企画が存在したこと、および大津氏本人が配信で鞭打ちを企画例として言及したことまでは争いません。 他方、動画が描いた「開催」の範囲、表現の相当性、損害の有無と額は、民事訴訟で主張立証します。 大津氏側の「事実無根のSMパーティー開催」という整理は、上記の企画・公言を捨象したものであり、当時の情報状況を正確に反映していないと考えます。実施の有無と範囲について、本回答で新たな断定はしません>
弁護士ドットコムニュースは齊藤氏にも取材を申し込んでおり、回答が来次第、追記する。