西日本シティ銀行(福岡市)は4月30日、行員が店内の執務室を撮影した動画や画像をインターネット上に投稿したとして、「お客さまをはじめ、多くの皆さまに多大なご迷惑や心配をおかけすることになり、心から深くお詫び申し上げます」と謝罪した。
動画や画像には、顧客7人の氏名が記載されたホワイトボードなどが映り込んでいたという。これらはSNSで拡散され、「緊張感なさすぎ」といった批判が相次いでいる。
投稿したのは若手行員とみられ、若い世代に流行しているSNSアプリ「BeReal」を使ったようだ。
金融機関に求められる厳格な情報管理の観点からは「謝罪」だけで済まない法的責任が生じる可能性もある。
●SNSへの機密投稿は懲戒処分の対象に
まず、このようなSNS投稿は私的な行為であっても、会社の機密情報や内部情報を外部に公開すれば、就業規則に基づく懲戒処分の対象となりうる。
多くの企業では、情報漏えいや信用毀損につながる行為を懲戒事由として定めており、今回のようなケースはこれに該当する可能性が高い。
ただし、最も重い懲戒解雇が認められるのは例外的だ。
裁判例でも、企業秩序を著しく乱し、改善の見込みがない場合などに限られるとされている。
新入社員であれば、悪意のない軽率な行動であったことや、速やかな削除・反省といった事情が、処分を軽くする方向に働くことがある。
●試用期間中は本採用拒否の可能性
一方で、投稿者が試用期間中の行員であった場合、事情は異なる。
本採用を見送る「留保解約権」の行使は、通常の解雇より広く認められるとされており、入社後の不適切行為を理由に、雇用継続が難しいと判断される可能性もある。
とりわけ、金融機関のように高度な情報管理が求められる業種では、執務室内の動画や画像などを投稿したことによる影響は小さくない。
また、SNS上で炎上し、会社の信用毀損が現実に生じている場合には、そうした事情も本採用拒否が正当化される要素となりえる。
新人行員のSNS投稿が引き起こした今回の問題。入社直後は高揚感もあり、社内の様子を発信したくなる気持ちも理解できなくはない。
しかし、たとえ一部でも社内情報が映り込む投稿は重大なリスクを伴う。SNS時代においては「これくらい大丈夫だろう」という感覚こそが、最も危ういと言えるだろう。