東京・新宿などで女性支援をおこなっている一般社団法人「Colabo(コラボ)」や代理人弁護士らと、元都知事選候補者でインフルエンサーの「暇空茜」を名乗る男性との間で争われている複数の裁判をめぐり、コラボや代理人弁護士が「勝訴」を報告した。
これらの裁判の判決は、2023年8月から2024年9月にかけて出されたもので、2つの裁判では、暇空氏にそれぞれ110万円と220万円の賠償命令が下された。暇空氏側は現在、この2つの裁判で控訴している。また、別の2つの裁判で判決が確定しているという。
このほかにも、コラボ側は、暇空氏に賛同する立場でブログやSNSで発信している「音無ほむら」と名乗る男性を名誉毀損で訴えており、この裁判で東京地裁は今年9月、音無氏に385万円の賠償命令を下している。
●東京地裁「意図的に相当程度の精神的苦痛を与えている」
コラボやその弁護団、コラボを支持する団体、弁護士らと、暇空氏の裁判では、名誉毀損が争われるケースが多い。
その1つで、暇空氏がブログサイト「note」に「(コラボが)10代の女の子をタコ部屋に住まわせて生活保護を受給させ、毎月1人65000円ずつ徴収している」と書いたことに対して、コラボが名誉毀損であるとして東京地裁に提訴した裁判がある。
「タコ部屋」や「生活保護不正受給」が事実であるかが争点となり、東京地裁は今年7月、そうした事実が認められる証拠はないと指摘したうえで、コラボの社会的評価の低下を認めて、暇空氏に220万円の賠償命令と投稿の削除を命じた(現在、暇空氏が控訴中)。
また、別の裁判では、暇空氏がコラボの弁護団である神原元弁護士が記者会見で「サイバーハラスメント」「大量のデマ」「女性差別」などと発言したことに対し、名誉毀損であるとして東京地裁に訴えたものがある。
この裁判では、「大量のデマ」といった発言が名誉毀損にあたるかなどが争われたが、東京地裁は2024年9月、暇空氏側の訴えを退けた。判決では、複数の暇空氏側の投稿について事実に反するとし、暇空氏が「コラボ関係者に対し、意図的に相当程度の精神的苦痛を与えている」ことを事実と認めた。
●「投稿を信じた男性たちによる妨害活動があった」
これらの判決を受けて、コラボ側と弁護団は10月2日、都内で記者会見を開いて、一連の裁判について報告した。
神原弁護士は、判決について「だんだんと、裁判所の理解が進んできている。これを社会に広めていきたいと思っている。ここまで獲得した裁判例の積み重ねを今後の戦いに生かしていきたい」と評価した。
また仁藤さんは、暇空氏らの投稿を信じた男性たちによる妨害活動があったと報告。「コラボとつながっている少女たちの個人情報を得ようとしたり、少女たちの命が危険にさらされている」として、次のようにうったえた。
「少女の支援に関わると妨害されるからやめようとなってしまったが、それを払拭するための裁判だった。居場所のない少女たちが置かれている現実をみなさんに知っていただき、多くの関心を寄せていただければと思います」
コラボ側によると、暇空氏を名誉毀損罪で刑事告訴し、書類送検されているという。このほか、音無氏に対しても侮辱罪や迷惑防止条例違反での刑事告訴を検討しているとしている。