アメリカで別姓のまま法律婚したにもかかわらず、日本の戸籍に婚姻が記載されないのは、立法の不備があるなどとして、映画監督の想田和弘さんと舞踏家で映画プロデューサーの柏木規与子さん夫妻が、国を相手取り、婚姻関係の確認などを求めている訴訟が1月27日、東京地裁で結審した(市原義孝裁判長)。
判決は4月21日に言い渡される。
●判決は他の夫婦別姓訴訟にも影響
訴状などによると、想田さんと柏木さんはアメリカ・ニューヨーク州に在住の日本人で、1997年にマンハッタンにあるニューヨーク市庁舎で、夫婦別姓のまま結婚した。海外で結婚する場合は、現地の法律に基づいて行われれば、国内でも婚姻は成立しているとみなされる(法の適用に関する通則法第24条)。
しかし、国内では夫婦同姓でないと夫婦の戸籍が作成されないため、法律婚した夫婦であるにも関わらず、戸籍上で婚姻関係を公証できない状態にある。そのため、法律上の不利益を被っているとして、婚姻関係の証明を受ける地位にあるとの確認などを求めている。
また、「外国の法律に従った方式によって別姓のまま結婚した日本人夫婦について、長期にわたって婚姻関係を証明する制度を設けていない国の立法不作為は、婚姻の自由を定めた憲法24条に違反する」などと主張してきた。
国はこれに対し、想田さんらが夫婦を称する氏を定めていないため、夫婦同氏を義務付けた民法750条の要件を満たしておらず、「婚姻関係の証明を受ける地位にあるとはいえない」などとして争っている。
この訴訟は、第二次夫婦別姓訴訟の弁護団が手がける裁判の一つで、海外で法律婚した別姓夫婦が国内でも認められるかどうか、他の夫婦別姓訴訟への影響もあり、その判断に注目が集まっている。