弁護士ドットコム ニュース
  1. 弁護士ドットコム
  2. インターネット
  3. 手越祐也さん「なりすまし」アカウント、15万フォロワー…法的に問題ないのか?
手越祐也さん「なりすまし」アカウント、15万フォロワー…法的に問題ないのか?
なりすましと見られるアカウント(インスタグラムより)

手越祐也さん「なりすまし」アカウント、15万フォロワー…法的に問題ないのか?

ジャニーズ事務所を退所した元NEWSの手越祐也さんが、SNS上に自身になりすました偽アカウントがあるとして、注意を呼びかけた。Instagramにある偽アカウントの中には、フォロワー数が15万以上のものもある。

手越さんは6月30日、ツイッターで「えーん みんな聞いてー!!なんか、TwitterでもInstagramでも俺の偽アカウントが出てて、騙されてる人が多くて、困るからみんな騙されないように!」とつぶやいた。

この影響からか、Instagramの偽アカウントは、フォロワー数が少し減っている。とはいえ、有名人のなりすましアカウントはこれまでも問題になっている。法的にはどのような問題があるのだろうか。清水陽平弁護士に聞いた。

●なりすまし行為そのものは刑法上問題ないが・・・

「刑事上の問題と民事上の問題が考えられます。

まず、なりすまし行為自体は、刑法が『なりすまし罪』のような犯罪を定めているわけではないので、刑法上問題であるということはできません。

ただし、なりすましたうえで、なりすまされた本人の評判を落とすようなことをして、あたかも本人が問題行動をとったかのように装う場合には、名誉毀損罪などの問題が生じることになります」

●氏名権、肖像権、アイデンティティ権を侵害している

「民事上は、なりすまし行為は、本人の氏名権やプライバシー権、肖像権、アイデンティティ権などを侵害することになります。

プライバシー権はわかると思いますが、氏名権とは氏名を冒用(承諾なく名称等を用いること)されないことなどを内容とする人格権です。

肖像権はみだりに他人から写真を撮影されたり、それを公表されたりしないよう主張できる人格権です。アイデンティティ権は"他者との関係において人格的同一性を保持する利益"を指すものです(大阪地裁判決・平成28年2月8日)。

今回のなりすましアカウントでは、本人の氏名のほか、写真を使っているので、氏名権や肖像権、アイデンティティ権を侵害しているといえると思います。

権利侵害を受けている人は、これらの権利侵害を理由に削除を求めることができるほか、発信者情報開示請求をして相手を特定していく余地もあるといえます。

なりすまし行為をしていた人物を特定できれば、損害賠償請求をしていくことができます」

プロフィール

清水 陽平
清水 陽平(しみず ようへい)弁護士 法律事務所アルシエン
インターネット上で行われる誹謗中傷の削除、投稿者の特定について注力しており、総務省の「発信者情報開示の在り方に関する研究会」(2020年)、「誹謗中傷等の違法・有害情報への対策に関するワーキンググループ」(2022~2023年) の構成員となっている。主要著書として、「サイト別ネット中傷・炎上対応マニュアル第4版(弘文堂)」などがあり、マンガ「しょせん他人事ですから ~とある弁護士の本音の仕事~」の法律監修を行っている。

オススメ記事

編集部からのお知らせ

現在、編集部では正社員スタッフ・協力ライター・動画編集スタッフと情報提供を募集しています。詳しくは下記リンクをご確認ください。

正社員スタッフ・協力ライター募集詳細 情報提供はこちら

この記事をシェアする