海賊版サイト「漫画村」に著作権を侵害されたとして、漫画家のたまきちひろさんが、漫画村に「コンテンツ配信ネットワーク」(CDN)を提供していた米クラウドフレアを相手取り、発信者情報開示をもとめた訴訟で、東京地裁(佐藤達文裁判長)は1月22日、請求を棄却する判決を下した。
クラウドフレアは、大量のアクセスを効率良くさばくための配信サービスを運営しているアメリカの企業。元のファイルではなく、全世界にあるサーバに「キャッシュファイル」を保存して、ユーザーが閲覧しやすくしている。
大手出版社に大きな打撃を与えた「漫画村」も利用していた。たまきさんは、漫画『人生リセット留学。』を無断アップロードされていたことから、漫画村の運営者を特定するために、発信者情報開示をもとめる訴訟を起こしていた。
東京地裁の佐藤裁判長は判決で、裁判の管轄は「日本の裁判所にある」としたうえで、漫画村の運営者らがすでに逮捕・起訴されており、その氏名(星野ロミ被告人ら)が判明していることなどから、「発信者は特定されており、損害賠償請求をすることができる状態にある」として、開示は不要と判断した。
たまきさんの代理人の中島博之弁護士は判決後、「裁判所が、星野被告人らが発信者だという『お墨付き』を与えたとも評価できる。一方で、被告人らが『たまきさんの作品をアップロードした人物とは別人だ』と主張する可能性もあり、控訴するかどうかは検討したい」と述べた。
漫画村の運営者、星野被告人は、人気漫画『ワンピース』『キングダム』の画像を違法にアップロードして、誰にでも閲覧できるようにしたとして、逮捕・起訴されている。クラウドフレアをめぐっては、別の著作権侵害や人格権侵害の事件で、発信者情報開示の仮処分が出ている。