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大型バイクで集団暴走、群馬の「ローリング族」が御用…「被害者」いなくても違法?
画像はイメージです(yamahide / PIXTA)

大型バイクで集団暴走、群馬の「ローリング族」が御用…「被害者」いなくても違法?

大型バイクで集団暴走したとして、20〜50代の男性5人が1月下旬、道路交通法違反(共同危険行為等の禁止)の疑いで群馬県警に逮捕された。

報道によると、5人は昨年10月4日、群馬県沼田市の赤城山中にある県道で、大型バイク5台を連ねながら高速で往復して、他人に著しい危険や迷惑を与える集団暴走をした疑いを持たれている。

現場となった県道は、片側1車線で、カーブが連続する区間だったそうだ。朝日新聞によると、5人のうち4人は「サーキットで走る練習のため」「爽快感を求めた」「スリルを味わうため」と容疑を認め、1人は容疑を否認したという。

5人は山道で危ない運転をする「ローリング族」とみられるという。今回の逮捕容疑となった「共同危険行為等の禁止」は、どのような違反行為なのだろうか。鬼沢健士弁護士に聞いた。

●「共同危険行為等」は被害者がいなくても成立する

——「共同危険行為等の禁止」とはどのような違反行為でしょうか。

共同危険行為等の禁止とは、道路交通法で以下のように定められています。

【道交法68条】
二人以上の自動車又は原動機付自転車の運転者は、道路において二台以上の自動車又は原動機付自転車を連ねて通行させ、又は並進させる場合において、共同して、著しく道路における交通の危険を生じさせ、又は著しく他人に迷惑を及ぼすこととなる行為をしてはならない。

違反した場合は、2年以下の懲役または50万円以下の罰金となっています(道交法117条の3)。複数台の自動車(大型二輪含む)による行為は、特に道路交通の安全に対して危険を及ぼすため、違反行為に重い刑罰を科していると考えられます。

——具体的にどのようなケースを想定した規定なのでしょうか。

共同危険行為等の禁止は、主に暴走族の取り締まりを目的として制定されたものです。過去には、下記の集団などが共同危険行為等で摘発されています。

・ルーレット族(環状道路などを一周するタイムを競う集団)
・ローリング族(急カーブの山道などでスピードを競う集団)
・ドリフト族(公道でタイヤを横滑りさせながら回る走法(ドリフト)を繰り返す集団) 
・ゼロヨン族(公道で400メートルの直線区間のタイムを競う集団) 
・街宣右翼(信号無視を繰り返すなど)

以前は、被害者がいた場合のみ成立するものでしたが、2004年施行の改正道交法によって、被害者がいなくても成立するようになりました。

具体的な共同危険行為等とは、道路上に広がっての走行、蛇行走行、巻き込み走行、一定区間の周回、速度超過等です。ただし、「二台以上」が要件になっているので、一台だけでこれらの行為に及んだとしても共同危険行為等にはあたりません。

——今回のケースでは、具体的にはどのような行為が「共同危険行為等」にあたるのでしょうか。

今回のケースでは、「サーキットで走る練習のため」「爽快感を求めた」「スリルを味わうため」と供述したと報じられており、著しい速度超過で走行をしていたものと考えられます。

群馬県警が撮影したという動画も見ましたが、大型バイク5台が次々と高速でカーブを曲がっていく姿が写されています。これらの共同危険行為等は「ローリング族」に類似しています。

カーブが連続する区間を、大型バイク5台が次々と高速で走行すれば、センターラインをはみ出して対向車と衝突する危険性や、対向車が避けようとして事故を起こす危険性があります。

また、同一区間を往復したとのことなので、これも共同危険行為等の1つである一定区間の周回にあたると考えられます。これらの行為を5台の大型バイクで「共同」したために共同危険行為等に該当すると考えられたのだと思います。

プロフィール

鬼沢 健士
鬼沢 健士(おにざわ たけし)弁護士 じょうばん法律事務所
詐欺サイト(出会い系、支援金、サクラサイト)・副業詐欺被害救済、不当解雇問題、交通事故を取り扱う。積極的に着手金無料で受任している。

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