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日弁連が民法の成人年齢「18歳」引き下げ慎重論の意見書「若者の消費者被害増える」
日弁連の意見書

日弁連が民法の成人年齢「18歳」引き下げ慎重論の意見書「若者の消費者被害増える」

日弁連は2月25日、民法の成年(成人)年齢を20歳から18歳に引き下げる議論をめぐり、若者に対する消費者被害が拡大するおそれがあることなどを理由に、「引き下げには慎重であるべき」とする意見書を法務大臣に提出した。

成人年齢の引き下げについては、法務省の法制審議会が2009年に「18歳に引き下げることが適当」とする最終報告書をまとめていたが実現していなかった。2015年に選挙権が18歳に引き下げられたことをきっかけに、少年法の適用年齢引き下げの議論とともに、再びクローズアップされている。

日弁連は、民法の成人年齢を引き下げた場合、さまざまな場面で18歳・19歳にとってマイナスの影響があると指摘。その一例として、未成年者は、親権者の許可を得ずに結んだ契約を取り消すことができるが、成人年齢引き下げの影響で、18歳・19歳が契約を取り消すことができなくなると、マルチ商法などの消費者被害が拡大するおそれがあることを挙げている。

意見書提出に先立って2月24日に行われた会見で、日弁連・消費者問題対策委員会副委員長の中村新造弁護士は、国民生活センターによせられた大学生のマルチ商法被害の統計で、18歳・19歳の相談件数より、20歳〜22歳の相談件数が10倍以上多いことを指摘。被害が抑えられているのは、未成年者に契約の取消権があることが大きいとして、「取消権がなくなれば、18歳・19歳の被害が激増するおそれがある」と危機感を表明した。

意見書ではこのほかに、親権者が未成年者に不利な労働契約を解除する権利が失われることや、親権の対象から18歳・19歳が外れることで親の保護が受けられなくなり、経済的に困窮する若者が増えるのではないかといった点なども問題視している。

中村弁護士は、「引き下げのメリットとデメリットが国民の間で充分に議論されていない。引き下げの前に、若者の自立を支える仕組みづくりを先行させるべきだ」と述べていた。

(弁護士ドットコムニュース)

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