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法廷での「無許可録音」相次いで発覚…そもそもなぜ禁止? 弁護士「訴訟当事者には認めるべき」と疑問視
法廷のイメージ(takeuchi masato / PIXTA)

法廷での「無許可録音」相次いで発覚…そもそもなぜ禁止? 弁護士「訴訟当事者には認めるべき」と疑問視

自社が関与する裁判で裁判官に許可を得ず法廷内でのやりとりを録音をしていたとして、電力会社などの企業がお詫びを発表するケースが相次いでいます。

企業の発表などによれば、各社の無断録音の目的は似通っており、自社に関する民事訴訟で裁判のやり取りを正確に記録する目的だったようです。

そもそも、なぜ法廷内でのやりとりを録音してはいけないのでしょうか。簡単に解説します。

●裁判官の許可があれば録音できる

法廷内での録音は、民事訴訟規則、刑事訴訟規則で原則として禁じられています。

どちらも内容としては似ていて、法廷における写真の撮影、速記、録音、録画又は放送は、裁判長(刑事の場合は裁判所)の許可を得なければすることができないとされています(民訴規則77条、刑訴規則215条)。

つまり、全面禁止ではなく、許可があれば録音できます。

●なぜ原則禁止か

原則として録音が禁じられている理由は、法廷内の秩序を維持するため、とか、訴訟関係者のプライバシーなどに配慮するため、などと言われています。

録音が外部に流出して訴訟関係者のプライバシーを著しく侵害したり、証人や当事者への圧迫になったりすると、訴訟進行に悪影響が出る可能性もあります。

したがって、PC等の利用や、法廷での録音を全面的に認めるべきとまではいえないでしょう。

●当事者による録音まで認めない理由は?

ただし、これは一般傍聴人に対し、録音を全面許可することには慎重であるべき、という話です。

当事者や代理人弁護士が録音することを禁じることに、どれだけ合理性があるのかは疑問です。

訴訟当事者が自分の裁判のやりとりを正確に記録したいというのは自然なことで、それを認めない理由は、あまりないように思われます。

裁判所だって誤りもあるでしょう。訴訟指揮に対する異議などをその後に残すことを考えても、実際に法廷で何が起こっているのか、録音を認める必要性は高いように思えます。

なお、訴訟の期日については調書が作成されますが、調書は発言全てを正確に写してはいませんし、内容の正確性の担保がありません。

電力会社などの法務部員が正確な記録のために録音を行ったのも、調書だけでは法廷での発言内容そのものや、発言のニュアンスが失われ得るという実務上の不都合があったからとも思えます。

●無許可録音には監置・過料の制裁がある

もっとも、規則違反に対する制裁が存在することには注意が必要です。

法廷等の秩序維持に関する法律2条1項は、裁判所が秩序維持のため命じた事項を行わない者や、裁判の威信を著しく害した者に対し、20日以下の監置または3万円以下の過料、またはこれらを併科するとしています。

さらに、裁判所法73条の審判妨害罪(1年以下の拘禁刑または2万円以下の罰金)として処罰される可能性もあります。

加えて、実務上、法廷警察権の作用として、録音を消去する措置や、誓約書の徴収、録音媒体の任意提出を求める運用もあるようです。

私自身は、当事者による録音を制限することにはあまり合理性がないとは思っていますが、規則上は「許可制」であっても、無許可で行えば、こうした制裁の対象になる点には注意が必要です。

監修:小倉匡洋(弁護士ドットコムニュース編集部記者・弁護士)

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

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