歌手の華原朋美さんが、子どもの忘れ物の発見を呼びかけ、「見つけた方には100万円」と高額な謝礼を提示した投稿が、SNSで注目を集めている。
もし実際に見つかった場合、本当に100万円を支払う義務は生じるのか。さらに受け取った側には税金はかかるのか。法的なポイントを整理する。
●「子供の大切なものが沢山入ったリュックです」
華原さんは4月11日夜、自身のXで「緊急」として、新幹線とみられる列車内に子どものリュックを置き忘れたことを明かし、次のように投稿した。
<見つけた方には100万円をお礼金として出します。子供の大切なものが沢山入ったリュックです。探して下さい。>
さらに「拡散希望」として、リュックの特徴について「中にはiPad2台、Switch1.Switch2が入っており、ソフトを入れたジップロックが入っています」などと具体的に説明した。
●翌日「今回は諦めることにしました」
しかし翌4月12日、華原さんは「あらゆる手段を使って探しましたが見つかりません。子供と話し合い、今回は諦めることにしました」と投稿。発見には至らなかったことを報告した。
今回のケースでは詳細な事情は不明だが、そもそもSNSなどで不特定多数に向けて「見つけたら100万円を支払う」と約束した場合、法的な効力は認められるのだろうか。
●SNS投稿でも「支払い義務」が生じる可能性
結論からいえば、このような呼びかけは、民法上の「懸賞広告」として有効と評価される可能性がある。
民法529条は「ある行為をした者に一定の報酬を与える旨を広告した者は、その行為をした者に対してその報酬を与える義務を負う」と定めている。
つまり、「リュックを見つけて返す」という条件を満たした人が現れた場合、投稿者は原則として、約束した100万円を支払う義務を負うことになると考えられる。
これは、書面による契約がなくても成立し、SNSでの投稿や口頭での約束でも同様だ。
ただし、懸賞広告は、その行為が完了する前であれば撤回が可能とされている。そのため、今回のように発見前に「諦める」と表明した場合には、支払い義務は発生しない可能性が高まると考えられる。
●通常は「5〜20%」の報労金
なお、落とし物については、遺失物法に基づくルールもある。
同法28条は、落とし物の発見者が請求した場合、落とし物をした人は「物件の価格」の5%から20%の範囲で報労金(謝礼)を支払う義務があると定めている。
ここでいう「物件の価格」とは、返還時点での市場価値を指す。
具体的には、「タブレット端末2台、ゲーム機2台その他」であれば、中古の時価総額が10万円〜20万円程度、報労金はその5%〜20%(5000円〜4万円程度)になりそうだ。
●謝礼金は「一時所得」に分類
では、実際に100万円を受け取った場合、税金はどうなるのか。
このような謝礼金は、所得税法上の「一時所得」に該当すると考えられる。
一時所得には最大50万円の特別控除があり、計算式は次のとおりだ。
<一時所得の金額 = 総収入金額(100万円) - 収入を得るために支出した金額(捜索にかかった交通費など) - 特別控除額(最大50万円)>
たとえば、経費がかかっていない場合、「100万円−0円−50万円=50万円」が一時所得となる。
さらに、この金額の2分の1(今回のケースでは25万円)が、給与などの他の所得と合算され、課税対象になる。