精子や卵子の提供に関するルールを定める「特定生殖補助医療法案」をめぐり、生殖補助医療の経験者らでつくる団体が5月13日、厚生労働省で記者会見を開き、子どもが出自を知る権利が保障されていないなどとして修正するよううったえた。
●今国会に提出された法案
記者会見した「特定生殖補助医療法案の修正を求める会」によると、法案は2025年2月、自民、公明、日本維新の会、国民民主の4会派によって参議院に提出された。
法案にはルールに違反した精子や卵子の提供者、医療機関に罰則を科す条文が盛り込まれ、事実婚カップルや独身の女性などを生殖補助医療の対象に含めないという。
また、生殖補助医療を使って生まれた子どもが成人した後にドナーに関する情報を請求しても、得られるのは年齢や身長、血液型のみ。ドナーを特定できる情報の開示にはドナーの同意が必要になるといい、「出自を知る権利」が十分に保障されていないとの批判もある。
そこで団体は今年3月、法案の見直しを求める署名活動を開始し、4月には当事者や研究者らが法案の問題点を話し合うオンラインイベントを開くなどしてきた。
●「かえって非公式な手段を助長する」と懸念
団体は今回、これまで集まった法案への疑問や懸念の数々を踏まえ、法案を提出した超党派の「生殖補助医療の在り方を考える議員連盟」などに対して公開質問状を出すことにしたという。
質問状では、子どもの出自を知る権利の保障や、罰則規定の妥当性など法案で不明確な点を問いただし、回答があれば団体のnoteで公開する予定という。
質問状作成に関わり、性的マイノリティの居場所作りなどに取り組む一般社団法人「こどまっぷ」の代表理事、長村さと子さんは「法律婚以外の治療希望者を排除する本法案が、かえって非公式な手段を助長し、母子や子どもの安全を脅かす」と述べた。