群馬県草津町の黒岩信忠町長(77)と肉体関係を持ったと虚偽の告発をした元草津町議の新井祥子氏らに対して黒岩町長が損害賠償を求めた裁判で、双方とも上告しなかったことが11月26日までにわかった。新井氏に165万円の支払いを命じた東京高裁の判決が確定する。
虚偽の性被害告発の経緯をまとめた表
●事件の発端は2019年の告白
事件は、草津町議会の議員だった新井氏が2019年11月に黒岩町長との性的関係を主張したことから始まった。
これに対して黒岩町長は当初から一貫して否定し、2019年12月に虚偽の告発により名誉を毀損されたとして新井氏と告発本を書いたライター、新井氏を支援する町議の男性の計3人に損害賠償を求める裁判を起こした。
前橋地裁(裁判長:田中芳樹)は2024年4月、黒岩町長と新井氏の間に性交渉はなかったと認定し、新井氏に275万円を(うち110万円をライターと連帯して)支払うよう命じる判決を言い渡した。
性被害の虚偽告訴事件の現場となった群馬県草津町の町長室(2024年5月、弁護士ドットコムニュース撮影)
●刑事責任の有無は今後の裁判で審理
ライターは110万円とその遅延損害金を合わせた計約133万円を黒岩町長側に支払ったが、新井氏は判決を不服として控訴した。
そして、東京高裁(裁判長:水野有子)は11月7日、黒岩町長と性交渉を持ったとする新井氏の告白がうそだったことを認定した上で、275万円から110万円を差し引いた165万円の支払いを新井氏に命じる判決を下していた。
その後、期限までに双方が上告しなかったことで民事裁判は終結したが、新井氏は虚偽告訴と名誉毀損の罪で前橋地検に起訴されており、刑事責任の有無については今後の裁判で審理される。
東京高裁が入る庁舎
●町長「泣き寝入りせずよく闘った」
新井氏が上告しなかったことについて、黒岩町長は弁護士ドットコムニュースの取材に次のようなコメントを出した。
「日本の民事訴訟は大変お金と時間がかかりますが、泣き寝入りをすることなくよくここまで闘ったと思います。これは私個人の名誉よりも家族の苦しみ、また草津町が受けたバッシングや風評被害などの汚名を晴らさなければならないという強い意志に基づくものです」
新井氏にも取材を申し込んでおり、回答が寄せられれば追記する。