「義母がアレルギー食品を子どもに…」悪気はなくても命に関わる大問題…法的には?
大人が気を配るしかない小さな子の食品アレルギー(Ushico / PIXTA)

「義母がアレルギー食品を子どもに…」悪気はなくても命に関わる大問題…法的には?

祖父母にとって小さな孫との飲食は、大切なコミュニケーションの場だが、時にトラブルに発展してしまうこともある。

弁護士ドットコムには「義母が勝手に(アレルギーがある)卵を食べさせてしまった」「義母に(アレルギーのある)牛乳を飲まされてしまった」といった子どもの飲食に関する相談が複数寄せられている。相談事例には義母によるものが多かったが、日頃、子どものお世話をする人でなければ、誰でもやってしまう可能性があるだろう。

食物アレルギーは、人によっては通院・入院が必要なほど重症化したり、ひどいときは死に至る場合もある。しかしアレルギーの恐ろしさを知らない人にはピンとこないこともあり、親を悩ます原因ともなっているようだ。

もしアレルギーを持っているこどもに、アレルギー物質を無理に食べさせてしまった場合、法的な責任を問うことはできるのか。泉田健司弁護士に話を聞いた。

●「傷害罪」にあたる可能性あり

ーーアレルギーの知識がない人にとっては、軽い気持ちで与えてしまうのかもしれませんが、時に命に関わります。法的にはどうでしょうか。

アレルギー物質を無理に食べさせる行為は、「傷害罪」にあたる可能性があります。

傷害罪が成立するかどうかは、「アレルギーとは知っていたけど、(無知で)大丈夫だと思っていた」との言い分が通用するかどうか、つまり故意の有無が争点になると思います。

これは個別具体的な事情によるとしか答えようがありません。たとえば、祖母が孫にアレルギー物質を食べさせたというケースでは、孫に傷害を負わせようとまで思っていたとは考えにくく、故意が否定される方向に向くでしょう。

他方、以前から「孫が●●を食べてアレルギー症状が出た」という話を聞いていたのに、その食品を食べさせた場合は、故意が認められる可能性が高まります。

ーー重篤な症状が出たような場合には、責任はどうなりますか

私見ですが、昨今、アレルギーの人が増えてきており、アレルギーによって重篤な症状を呈することがあることは社会常識といってもよいでしょう。

したがって、基本的には故意が推認され、傷害罪になるのではないかと思います。また、重篤な事案では殺人罪や殺人未遂罪、逆に比較的軽微な事案では過失傷害罪や強要罪なども検討の余地があると考えられます。

2016年には母親が牛乳アレルギーのある5歳の女の子に牛乳を飲ませアナフィラキシーショックを起こしたとして、殺人未遂罪で逮捕された事件もありました。この事案には複雑な事情が絡んでいるようで設問のケースとは全然違いますが、アレルギーと知りながらアレルギー物質を与えるということは、十分、犯罪となりうるということです。

プロフィール

泉田 健司
泉田 健司(いずた けんじ)弁護士 泉田法律事務所
大阪弁護士会所属。大阪府堺市で事務所を構える。交通事故、離婚、相続等を中心に地域一番の正統派事務所を目指す。

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