埼玉県戸田市に居住実態がないとして、戸田市議を当選無効とされたスーパークレイジー君議員こと、西本誠議員が県選管の裁決取り消しを求めた裁判で、最高裁判所は3月4日、上告を棄却する判決を言い渡した。
当選無効が確定し、もはや議員でなくなったスーパークレイジー君さんが同日、記者会見で報告し、「同じ失敗はしない」と語った。
●タダ働きでも市議の任期をまっとうしたかった
「傍聴席には、投票してくれた戸田市民の方もきてくれた。(失職の)覚悟はしてましたが、これから頑張ろうと言ってくれる方がいる。これからは議員ではなく、普通の西本誠としてやっていく」
約1年にわたった裁判を終えたクレイジー君さんは、そのように語り、「本当は残りの任期は、報酬もなく、タダ働きでもやらせてほしかった」と悔しさをにじませた。
裁判で戸田市の生活実態がないという判断が支持されたことには、「言い訳になるといけませんが、同じく無効になった方にも聞いてみたところ、普通より(選管による)聞き込みなどが多かったかと思う。同じ失敗はしない」とコメントした。
来週告示の戸田市長選や夏の参院選も控えるが、今後の予定については「言えないところもありますが、どう転んでも立ち直れるようにしてきた。そのうち発表したい」との発言に留めた。
政治以外の活動としては、4月から日本大学通信教育部の法学部・政治経済学科に入学するという。
「やり直しできる世の中とは口にするのは簡単。挑戦できるときはいつでも挑戦したい」(クレイジー君さん)
代理人の加藤博太郎弁護士は「議員失職という形になり、とても残念な判断となりましたが、区切りがつき、清々しさもある。弁護士としても1年ほど戦い抜いた。これからも支えていきたい」とした。
会見する加藤弁護士とクレイジー君
●裁判で居住実態が認められなかった
戸田市議選で当選したスーパークレイジー君は、市内での居住実態が認められず、市選管によって当選を無効とされた。審査申し立てをしたところ、県選管は2021年7月9日、それを退ける裁決をした。
同月14日、県選管の決定は違憲として、東京高裁に裁決取り消し訴訟を提起したが、10月15日に請求棄却判決を受けていた。
高裁判決は、スーパークレイジー君が市議選における住居要件を満たしていないと判断し、また、住所要件を定めた公職選挙法は、憲法15条に違反するとはいえないとした。