私立小学校に通っている息子が、クラスメイトの暴力で、頬に一生残る傷を負ってしまったーー。そんな相談が寄せられました。
母親は「暴れていた生徒を注意しなかった担任に責任がある」と考えていますが、担任や学校側に慰謝料請求ができるのでしょうか。小学校の教員経験のある畑中優宏弁護士の解説をお届けします。
Q. 同級生に「一生残る傷をつけられた」ーー担任や学校に慰謝料を請求できるの?
息子が、通っている私立小学校の図画工作の授業中に、暴れていたクラスメイトが振り回した鉛筆で顔を引っ掻かれ、頬に一生残る傷を負ってしまいました。
傷は大分癒えましたが、子どもの顔を見るたびに心が痛みます。
私は、暴れていた生徒を注意しなかった担任に責任があるのではないかと思うのですが、担任と小学校に対して、慰謝料を請求することはできるのでしょうか?
A. 何も対処しなかった担任教師に損害賠償責任が生じる
本件は、図画工作の授業中で、児童が暴れて他の児童に危害を及ぼすようなことが容易に予測のつくような状況だったと思われますので、何も対処しなかった担任教師に損害賠償責任が生じるものと考えられます。
学校は、担任教師の使用者ですから、使用者責任といって、損害賠償の責任を負うことになります。
また、私立学校と児童らの間には、私法上の契約関係があり、学校は児童らの安全を確保する義務があるので、その義務を怠ったという理由でも損害賠償責任を負います。
損害賠償の範囲は、治療費はもちろんですが、顔に一生残る傷が残った場合、慰謝料の請求も可能と思われます。
(弁護士ドットコムライフ)