弁護士ドットコム ニュース
  1. 弁護士ドットコム
  2. 企業法務
  3. シャープ・戴社長の役員報酬「ゼロ円」、 社長は無給でも法的に問題ない?
シャープ・戴社長の役員報酬「ゼロ円」、 社長は無給でも法的に問題ない?
画像はイメージです

シャープ・戴社長の役員報酬「ゼロ円」、 社長は無給でも法的に問題ない?

台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業のもとで経営再建をはかっているシャープがこのほど、戴正呉(たい・せいご)社長に支払う役員報酬を「ゼロ円」にすることを決めた。報道によると、ボーナスにあたる役員賞与も支給しないため、戴社長は無給で働くことになるという。

これまで、戴社長は「赤字なのに報酬を受け取るのはおかしい」という認識を示していた。無給にすることで、黒字に向けた決意を示したかたちとなる。一方で、戴社長はホンハイグループの副総裁もつとめており、そちらからは報酬を得る。

シャープのような上場企業が、社長に報酬を支払わないのは異例だそうだが、役員報酬を支払わなくても法的に問題ないのだろうか。企業法務に詳しい高島秀行弁護士に聞いた。

●「役員報酬ゼロ円」の役員を選任することができる

「役員報酬については、会社法上、株主総会の決議で、支給するかどうか、支給額がいくらにするかを決めることになっています。

総会決議で、役員全員の報酬の総額を決めて、その範囲内で、どの役員がいくらの報酬を取るかを取締役会に委任することもできます」

今回のシャープのように、役員報酬をゼロ円とすることは可能なのか。

「社長本人が役員報酬を不要として、役員報酬を受け取る権利を放棄したから、役員報酬『ゼロ円』が実現したわけです。

役員報酬がゼロ円でもよいから役員として働きたいという人がいれば、会社法上、株主総会などで、『役員報酬ゼロ円』として、役員に選任することは可能です。法的に問題ありません。

ただ、株主総会で役員に選任されたとしても、役員には役員になることを承諾するかどうか選択する権利があります。

普通は、役員になるときに、『役員報酬ゼロ円』だといわれれば、生活ができなくなるので役員になる人はいません。したがって、役員報酬がゼロ円ということは、なかなかないことだと思います」

高島弁護士はこのように説明していた。

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

高島 秀行
高島 秀行(たかしま ひでゆき)弁護士 高島総合法律事務所
「ビジネス弁護士2011」(日経BP社)にも掲載され、「企業のための民暴撃退マニュアル」「訴えられたらどうする」「相続遺産分割する前に読む本」(以上、税務経理協会)等の著作がある。ブログ「弁護士高島秀行の遺産相続・遺留分の解決マニュアル」を連載中。 https://souzoku-soudan-bengoshi.jp

オススメ記事

編集部からのお知らせ

現在、編集部では正社員スタッフ・協力ライター・動画編集スタッフと情報提供を募集しています。詳しくは下記リンクをご確認ください。

正社員スタッフ・協力ライター募集詳細 情報提供はこちら

この記事をシェアする