事故物件調査シリーズ、最後は「解約」に関して。知らずに住んでいたけれど、今住んでいる部屋が実は事故物件だったら……。あなたなら解約しますか? アンケートで解約したい、したくない人と答えた人の理由もそれぞれご紹介します。(この記事はSUUMOジャーナル編集部との共同企画です)
●今の部屋が事故物件だったら「解約したい」が6割超え
もし、自分が住んでいる部屋が事故物件であることを知ったとしたら、あなたならどうしますか? 調査では、「解約したい」という人が66.5%、「解約したくない」という人は33.5%という結果となりました。
事前に知って契約しているなら納得の上なので受け入れられますが、知らなかった場合はやはり「解約したい」と思う人が多いよう。ただし、3人に1人は「解約したくない」と答えていて、事故物件に対する捉え方がさまざまであることがうかがえます。事故の内容や時期によっても「解約したい」「したくない」は変わってくるかもしれませんね。
●解約したい理由は「気持ち悪い」「不気味」が多数
「解約したい」と回答した人の理由としては、大きく分けると「気分的、心理的に嫌」「不動産会社や大家さんに対する不満」「家賃に対する不満」の3タイプがありました。
<気分的、心理的に嫌>
・知ってしまったら、気持ち悪くて家にいても落ち着かないと思う(32歳・女性)
・気持ち的に事故があったと考えると住んでいたくない。やすらげない自宅は嫌。家賃がやすくなっても嫌だ(33歳・女性)
・不気味だから(34歳・男性)
・ネガティブな要素がある家には住みたくない(38歳・男性)
・子どもがいるので、人が死んだという物件に住みたくない(38歳・女性)
<不動産会社や大家さんに対する不満>
・事前にそう教えてくれなかったことで、貸主に不信感が生まれる(38歳・女性)
・本来告知義務があると思うが、無かったことに対する不満(46歳・男性)
・入居時に事故物件という説明もなく家賃も他と同じだとしたら、不動産会社を信用できないから(41歳・男性)
・事故物件とは何も聞いていないので、クレームを言って引越ししたい。引越し費用は出してもらいたい(48歳・女性)
・今知るということは、意図的に隠されていたということなので不気味だから。 入居前には必ず知りたい(24歳・男性)
<家賃に対する不満>
・事故物件ならその分安いはずなのにそうでないから(38歳・女性)
・事故物件であるのに、家賃が相場通りなら住みたくない(44歳・男性)
・知らないで入居したし、解約が難しいなら安くしてほしい(32歳・女性)
・すぐの引越しは難しいので、説明責任を問いただし、家賃を安くしてもらう(36歳・男性)
・まずはどんな事故があったのか聞いてすぐに引越しを考えて、新しい物件が見つかるまでは家賃交渉したい(38歳・女性)
●解約したくない理由は「住み心地に問題ない」「引越しが面倒」など
一方、「解約したくない」と回答した人の理由は以下のとおり。
<住み心地に問題がなければ>
・入居前に徹底したリフォームや仏事を行っており、居住後も問題がなければ契約更新の時期まで住み続けると思う(36歳・男性)
・長年住んでいるが、怖い事がなかったから(37歳・女性)
・事故物件だとわかったところで住み心地が変わる訳ではないから。ただ、安くしてくれるかどうかは交渉したい(36歳・男性)
・今の部屋に愛着があるので(23歳・女性)
・住み慣れているのであまり心境に変化はないと思う(22歳・男性)
<引越しが面倒、お金がかかる>
・その時の状況にもよるが、他物件を見つける手間、引越し費用、などトータルで考えると、しょうがないので、そのまま住み続けることになると思います(49歳・男性)
・手続きが面倒だし、新しい部屋を探すのも大変だから(26歳・女性)
・退去するのが面倒だから(30歳・男性)
・引越すのにまたお金がかかるから(39歳・女性)
・引越しは面倒。 入居してしばらく経過していたら気にしない(45歳・女性
<条件が気に入っているから>
・住心地に問題ないし利便性が良いから(29歳・女性)
・家賃やエリアを気に入っているので(30歳・女性)
<その他>
・事故物件は気にならないのでそれを理由で解約はしないが、事故物件対策(自分が借りる前に短期間だけ人を住まわすなど)を行われていた場合、家主の心根が気に食わないので解約を検討すると思う(33歳・男性)
今回の調査では、何も知らずに事故物件に住んでしまった場合「解約したい」と答えた人が6割を超える結果となりましたが、実際には解約できるものなのでしょうか。瀬戸仲男(せと・なかお)弁護士に聞きました。
「解約できる場合もあり得ます。消費者契約法に基づいて契約を取り消すことができる場合もありますし、あるいは、民法に基づいて契約を解除し、損害賠償請求をすることができり場合もあります。但し、戦うためには「証拠」が必要です。事故物件であることの確かな証拠を確保しなければなりませんので、準備を怠らないようにしましょう」(瀬戸弁護士)
また、悪質な不動産仲介業者のなかには、過去に事故物件だった事実を隠す「事故物件ロンダリング」を行っているケースもあるようです。具体的にはどのようなものなのでしょう?
「『事故物件ロンダリング』とは、事故物件をクリーニング(洗浄)して、嫌われない物件に変えてしまおうという行動のことを指します。一番多く行われる方法は『サクラを入居させる』という方法です。宅建業者の中には『事故が起きた後、一度でも次の入居者が入居すれば、そのまた次の入居者に対して、事故物件であることを説明しなくても、宅建業法上の重要事項説明義務に違反しない』と考えている業者がいるようです。そこで、このような業者は、自社の社員やアルバイト学生などを使って一定期間だけ事故物件に入居させて、クリーニングしようとするわけです。 あるいは、借地借家法の『定期借家契約』も事故物件をクリーニングする方法として利用されることがあります。事故物件であることを説明したうえで借主を募集した場合、低家賃でなければ借主はほとんど現れません」
「事故物件だということを知らされずに入居したのでは、精神的に参ってしまい、心療内科などの病気になりかねませんね。多少の不安感ならば、お祓いしてもらって住み続けるという選択肢もあり得ますが、多くの方にとっては大問題でしょうね。病気になる前に転居して、気持ちを落ち着けてから、家主や仲介業者との交渉などを始めるとよいでしょう」
●まとめ
事故物件に住んでいたからといって、必ずしも何かが起きるわけではありません。心理的な嫌悪感をもったり、霊的なものを感じる体質でなければ、事故物件であっても普段通りの生活をすることは可能です。先の調査で、家賃の安さなどから、あえて事故物件を選択する人もいます。どうしても事故物件に住みたくない、周辺に住むのも嫌という人は、事前に不動産会社や大家さんに確認をとっておく、専門サイトでチェックするなどの対策をしてくださいね。
<調査概要>
・[事故物件に関する調査]より
・調査期間 2017年12月21日~25日
・調査方法:インターネット調査(ネオマーケティング)
・対象:全国の賃貸集合住宅にお住まいで、半年以内に賃貸で部屋探しをする予定のある方
・有効回答数:400名