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「ペット可」物件だったのに、突然の規約変更で「禁止」に…愛犬はどうなる?
写真はイメージです(YAMATO / PIXTA)

「ペット可」物件だったのに、突然の規約変更で「禁止」に…愛犬はどうなる?

マンションでも、猫や犬と暮らせる「ペット可」物件が増加してきている。しかし中には、突然の規約変更で「ペット禁止」となってしまうこともあるようだ。弁護士ドットコムの法律相談コーナーに、入居して10年となるマンションが突然、「ペット禁止」の規約を変更しようとしていると相談が寄せられた。

「(マンション管理組合の)臨時総会でペット禁止が決まった場合でも、法律的に我々家族を救済できる方法はありますか?」。相談者は、愛犬を「家族」だと考えている。

このような住環境を大きく変える規約変更は有効なのか。またすでに入居している人は、ペットを買い続けるなら引っ越しをせざるを得ないのだろうか。あるいは、すでに入居していたペットは住み続けることができるのだろうか。弁護士に聞いた。

●ペット禁止の規約変更は「有効」

「ペット飼育は一般的にマンションの他の区分所有者(居住者)に有形無形の影響を及ぼすおそれのある行為であり、ペット飼育を一律に禁止する規約は有効とされていますので、ペット禁止とする規約の変更自体も有効となります。

しかし、区分所有法31条1項で、規約の変更が一部の区分所有者の権利に『特別の影響を及ぼすべき』ときは、その承諾が必要とされており、ペット禁止への規約変更もペットを飼育している相談者の権利に『特別の影響を及ぼすべき』ものであるとして、相談者の承諾を必要とすると主張することが考えられます」

●ペット飼育は生活を豊かにする意味はあっても、生活・生存に不可欠とまでは言えず

「『特別の影響を及ぼすべき』か否かは、規約の変更等の必要性・合理性と、これによって一部の区分所有者が受ける不利益を比較して、その区分所有者が受忍すべき限度を超えるか否か、で判断されます。

ペット飼育を一律に禁止することの必要性・合理性は認められる一方で、ペット等の動物の飼育は、飼い主の生活を豊かにする意味はあるとしても、生活・生存に不可欠のものというわけではないと評価されており、原則として『特別の影響を及ぼすべき』場合には該当しないと考えられます。

たとえ、ペットを家族同然に扱ってきていたとしても、そのような主観的事情だけでは、生活・生存に不可欠のものと評価されません(東京高裁平成6年8月4日判決)」

●盲導犬や専門治療のためとしてであれば「該当する」

ではどういった場合に生活・生存に不可欠なものと評価されるのか。

「盲導犬の場合やペットの飼育が専門治療上必要である場合などは、ペットの飼育が生活・生存に不可欠とされ、『特別の影響を及ぼすべき』場合に該当し、ペットの飼育者の承諾のない規約変更は無効であると主張できます。

したがって、相談者が愛犬を家族と考えており、しかも相談者の承諾なく管理規約がペット禁止に変更されてしまっても、ペットの飼育が客観的に生活・生存に不可欠といえる場合でない限り、その変更は有効であり、それ以後もペットを飼い続けることは規約違反となってしまいます」

(弁護士ドットコムニュース)

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