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「留置場で自殺を図った」「拘置所に移送された」…留置場と拘置所の違いは?
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「留置場で自殺を図った」「拘置所に移送された」…留置場と拘置所の違いは?

「留置場で自殺を図った」、「拘置所に移送された」。ニュースでは度々、留置場や拘置所という用語を耳にします。

弁護士ドットコムの法律相談コーナーにも、家族や知人が逮捕された相談者が「留置場と拘置所は具体的に何が違うのでしょうか」、「留置場にいる期間はどのくらいなのでしょうか」と質問が寄せられています。

留置場と拘置所とはどのような施設なのでしょうか。水野英樹弁護士に聞きました。

●起訴されて被告人となって拘置所に移監されるケースがほとんど

留置場と拘置所はそれぞれどこが管理しているのか。

「留置場は警察が所管し、拘置所は法務省が所管しています。留置場の多くは、警察署の中に設置されています。拘置所は、裁判所の近隣に独立して建てられていることが多いです。刑務所と隣接して建てられているところもあります」

逮捕されると、留置場と拘置所のどちらに入ることになるのか。

「警察に逮捕されると留置場に留置されます。そして、犯罪が疑われ、証拠隠滅や逃亡のおそれがある場合、検察官の請求に基づいて、身体を拘束するために、その次のプロセスである『勾留』に移行します。

起訴前の被疑者が裁判官による勾留質問を経て勾留される場合、拘置所に拘置されるべきなのですが、検察官は、警察による取調や現場引き当たりなどの捜査の便宜のために、警察署の留置場を勾留場所とすることを求め、裁判官がこれを認めてしまっているという実態があります。

そのため、勾留決定が出されても被疑者として留置場での留置が続き、検察官に起訴されて被告人となった段階で初めて、拘置所に移監される例がほとんどです。

被逮捕者として留置場に留置できる期間は最大72時間、被疑者として留置場に勾留できる期間は原則として最大20日間です。被告人となって拘置所に勾留される期間に法律上の制限はありません」

●留置場と違い、拘置所での面会時間は午後5時まで

それぞれの特徴はどういった点だろうか

「留置場には単独室はありません。共同室となります。食事は3食とも弁当であるのが普通です。医師は常駐しておらず、病気になると外部の医療機関に受診しにいくことになります。起訴される前は、取調がなされます。ただ、弁護人との面会時間について事実上制限はなく、執務時間外である午後5時以降も面会が認められます

拘置所には単独室も共同室もあります。支所など小さな施設を除き、食事は施設で作られるものが提供されるのが普通です。医師が常駐しているのが建前ですので、施設内の診察室で診察を受けることができます。

起訴されてから拘置所に移監されるのが普通ですので、取調がないのが普通です。弁護人との面会時間は執務時間内である午後5時までしか認められないのが原則です。例外的に、夜間や土曜日・日曜日の面会も認められないわけではありませんが、厳しい要件があります」

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

水野 英樹
水野 英樹(みずの ひでき)弁護士 水野法律事務所
第二東京弁護士会所属(1990年弁護士登録) 1990年~日弁連・刑事拘禁制度改革実現本部委員(旧名称:拘禁二法案対策本部)

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