人気男性グループ「EXILE」などが出演するコンサートチケットを転売目的で大量に購入したとして、東京都内在住の20代男性が5月12日、都迷惑行為防止条例違反の疑いで警視庁に逮捕された。
報道によると、男性は昨年6月、東京都調布市のコンビニで、「EXILE」や「三代目J Soul Brothers」などが出場するコンサートチケット98枚を不特定多数の客に転売する目的で購入した疑いが持たれている。男性は「自分が良い席で見たかったので大量に買った」「余ったチケットを売っただけ」と容疑を否認しているという。
これまでも、チケットをネット上で転売する「転売屋」(テンバイヤー)の問題が指摘されてきた。そもそも、どんな転売行為が違法なのだろうか。一般人が余ったチケットを売る行為も違法なのだろうか。刑事事件にくわしい落合洋司弁護士に聞いた。
●ダフ屋行為は禁止されているが・・・
「都道府県の迷惑防止条例では、いわゆる『ダフ屋行為』が禁止されて、処罰の対象となっています。
最近は、インターネット上で、各種チケットを販売する業者が数多く存在していますが、迷惑防止条例の解釈上、インターネットは、ダフ屋行為(販売)が禁止される『公共の場所』と考えられていません。場所というのは、あくまでリアルな場所だと考えられているからです。
この種のネットダフ屋の取り締まりにあたっては、(1)『転売目的』にもとづいて、(2)『リアルな場所』(公共の場所)、たとえばコンビニ店頭の券売機で購入するような行為が、違法行為と捉えられています」
業者ではなく、一般人がチケットを転売する行為はどうだろうか。
「一般人によるものであっても、不特定の者への転売目的で、リアルな場所で購入すれば違法となります。ただ、あくまで不特定の者への転売目的があるからで、自分や知人が行くためにチケットを買って、行けなくなったので他人に販売する行為は、迷惑防止条例上、違法ではありません。
このような違法でない行為までも、ダフ屋行為として違法であるかのように語られることがありますから、注意が必要です」
チケット転売の問題が注目されるようになって、最近では購入の際、主催者が転売を禁止していたり、コンサート会場への入場の際に厳格な本人確認をおこなうケースも増えている。
「迷惑防止条例上は違法でなくても、主催者の方針によって、転売ができない仕組みになっていることもありますから、購入や転売にあたっては注意が必要でしょう」
落合弁護士はこのように述べていた。