若い女性がパトロンとなる中高年男性を探す「パパ活」が話題になっている。その形は様々で、援助交際のように性的関係を持つケースもあれば、食事だけを楽しむケースもあるようだが、金銭を介したやりとりである点が特徴的だ。
ネットのQ&Aサイトでも、「親が離婚していてお金もあまりないので、留学したいなど親に言えませんのでパパ活したいです」「私もあと数年もすると若さで売れなくなってしまうのでやるなら今しかない」など、パパ活に関する質問が多数投稿されている。
実際のパパ活をしている人たちによると、「パパ」からは、「交通費」と称して高額のお手当をもらったり、高額な家電製品などのプレゼントをもらうケースが多いようだ。あまりに収入が高額になった場合、税金の問題は生じないのだろうか。新井佑介税理士に聞いた。
●贈与税の申告対象に
いきなりですが「イクメン」と同じ類でパパが子育てに参加する活動を「パパ活」と勘違いされている方も多いのではないでしょうか。さらには援助交際とどう違うのかがわからない方も多いと思います。私はそうでした。
この「パパ活」と呼ばれる謝礼交際の違法性や不法性についてはケースバイケースになるかと思います。そこで今回は税金面にのみフォーカスして「パパ活」の課税関係について説明していこうと思いますね。
まず合法違法問わず、「パパ活」から得た金銭や財産は贈与税の申告対象となります。この点について、所得税法上の一時所得になるとも考えられますが、所得税法第9条第1項 第16号により「個人からの贈与により取得するもの」は所得税の非課税所得となると規定されているため、「パパ活」から得た金銭等は所得税ではなく贈与税が課税されると考えられます。
パパから慰謝料としてもらったから所得税法上非課税ではないか、という主張もあるようです。確かに慰謝料は心身に受けた損害を賠償するものであって非課税となります。しかしながら受け取った金銭が慰謝料額として不相当に高額である場合が殆どであるでしょうから、贈与とみなされる場合が多いのではないかと考えます。
それでは贈与税は一体いくらかかるのでしょうか。「パパ活」で得た金額が年間110万円までは基礎控除の枠内になりますので、贈与税はゼロです。この場合、非課税となるため申告の必要もありません。複数のパパから金銭等をもらっている場合は合計で計算する点に注意が必要です。110万円を超えた場合には、その超えた金額に対して10〜55%の税率を乗じた額が納付すべき贈与税になります。もちろん申告と納税が必要になります。これらの義務は、パパではなく女性側にあります。
パパ側からは、「夢の応援」や「先行投資」、女性側からは「人脈造り」や「自分磨き」といった聞こえの良い意見が飛びかっています。これらは彼らの罪悪感を薄め、倫理観のハードルを下げているように感じます。そもそも「パパ活」という言葉自体もそうかもしれません。
同じパパはパパでも、家庭を大切にして娘から愛される父親になりたいものです。そして娘も手塩にかけて育ててくれた父親を愛し、他人のパパではなく実の父親からもっと学ぶことはあるのではないかと思いますね。
【取材協力税理士】
新井 佑介(あらい・ゆうすけ)公認会計士・税理士
慶応義塾大学経済学部卒業。金融調整から新設法人支援、法定監査まで幅広く全力でクライアントをサポート。趣味はサーフィンとスノーボード、そして登山。好きな言葉は「変わり続ける勇気」
事務所名 : AAG Arai Accounting Group / 経営革新等支援機関 新井会計事務所
事務所URL: http://shozo-arai.tkcnf.com/pc/
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