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2020年11月03日 10時51分

迷子で泣く女児、助けるのはリスク? 虐待問題との共通点「面倒ごと避ける大人増えた」

塚田賢慎 塚田賢慎
迷子で泣く女児、助けるのはリスク? 虐待問題との共通点「面倒ごと避ける大人増えた」
画像はイメージです(kai / PIXTA)

「泣く7歳、助けない大人 『何とかしないと』小5が保護」と題した朝日新聞デジタル(10月20日)の記事が、話題になりました。

迷子になった女の子を、小学5年生の男の子が警察に連れていってあげたーー。「男の子は立派だ」という良い話で終わるのではなく、記事が注目されているのは、この事例が単なる美談ではなかったからです。

男の子が勇気ある行動をとった理由は「通りかかる大人は何もしなかったので自分が何とかしないといけないと思った」からだったといいます。

泣く子どもの横を大人たちが素通りした理由はわかりませんが、意外にも「通りかかった大人の気持ちもわかる」との同意も目立ちます。

●「助けないのが賢明」

ネットには、このような意見がみられます。

「冤罪であっても、女児誘拐のレッテルを張られてしまえば、人生が終わる」 「警察を呼ばれて、揉めているところを動画に撮られて拡散されたら…」 「最近は大人の男性だけではなく、女性でも、子どもに声をかけると警察にいろいろ聞かれる」

もはや、泣いている子どもを見かけても、“ことなかれ主義”を貫くことが「常識」となっているのでしょうか。

元警察官僚で、子どもの虐待ゼロを目指しているNPO法人「シンクキッズ」の代表理事を務める後藤啓二弁護士に聞きました。

●子どもを見つけたとき、どうすればよいか

ーー大人たちはどうして尻込むのでしょうか

自分の利害ばかり考え、自分とは関係のないことや、面倒なことにはかかわりたくないと考える。そんな大人が増えたということだと思います。

児童虐待がこれほどひどくなった現在でも、大人の怒鳴り声や子どもの泣き声を聞いても、虐待の疑いありとして通報する人はごく一部です。

ここで優先されているのは、虐待から子どもを救うという考えではなく、面倒なことにかかわりあいになりたくないという意識だと思います。

迷子で泣いている子どもを見て、無視するのもこれと同じだと思います。

そのほか、考えられる理由としては、家族、勤務先など最小限の範囲でしか付き合いがなくなり、見知らぬ人とは、それが困っている子どもであっても、どう対応していいか分からないという人が増えているのかなという気がします。

ーーそのうえで、迷子を見つけたとき、大人はどうすればよいのでしょう

せめて110番するか、近くにお店があれば、そのお店の人に頼むぐらいのことはしてほしいですね。

ーー助けてしまうことを「リスク」と捉える人がいるようです

困っている子どもを助けることにリスクがあるという考え方は理解できません。そんなふうに考える人が少なからずいるとすれば、現在の日本社会が歪んでいるのでしょうね。

●後藤弁護士「誘拐犯と疑われるなんて、基本的に考えられません」

彼らが心配するのは、子どもの話を聞いて家に連れて帰ってあげている途中で、保護者、保護者から通報を受けた警察に会って、誘拐犯と疑われるということでしょうか。

ですが、基本的にそんなことは考えられません。事実をそのまま話せば、感謝されこそすれ、トラブルになることは通常はありません。

よほど常識のない保護者である場合には、トラブルになるかもしれませんが、そんなことがあるかもしれない、そんなことに巻き込まれるのはいやだと思って、困っている子どもを助けないことを正当化することなどできないと考えます。

それでも、どうしても心配だという人は、まず110番して、状況を説明して、今子どもを家まで送っているが、一緒に来てもらえないだろうかと伝えればいいと思います。

ーー行動に移す前に、通報するほうがよいのでは?

心配な人はそうしたらいいと思いますが、こんなことまで警察に頼らなければならないというのは、地域社会の在り方としてどうかと思いますね。

●自分の過去の「借り」を返す相手がもういないなら…

ーーほかにご意見はありますか

私が子どもの虐待ゼロのための活動をしているのは、命の危険のある子どもを助けなければという思いからです。

私が子どものときには、親は別にしても、近所や商店街のおじさん、おばさんにすごくお世話になった、大事にしてもらったという記憶があり、それは私にとって大きな「借り」なんですね。

その借りを返さなければならない、しかし、借りを返すべき相手の人はもう亡くなっているので、その借りを今の子どもたちに返そう、という意識があるのです。

おかしな考えかもしれませんが、自分が受けた当時の大人からの恩恵を誰かに返さないまま、自分の人生を送るのは、卑怯といいますか、自分だけ得をしている、ネコババしているのではないか、という意識があるのですね。

ちょっとおかしいですかね。私と同じ思いでなくても構いませんが、自分が子どものときに、困っているときに親以外の大人から助けてもらったことがきっとあると思います。それを思い出してほしいですね。

取材協力弁護士

後藤 啓二(ごとう・けいじ)弁護士
1982年警察庁入庁、大阪府警生活安全部長や内閣参事官などを歴任し2005年に退官。在職中に司法試験に合格。NPO「シンクキッズ」代表理事。犯罪被害者支援、子ども虐待・児童ポルノ問題などに取り組む。著書に『子どもが守られる社会に』(2019年)など。

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