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2017年02月09日 10時11分

「万引き犯です」コンビニ店内に防犯カメラ画像を貼り出し、どんな法的問題がある?

「万引き犯です」コンビニ店内に防犯カメラ画像を貼り出し、どんな法的問題がある?
写真はイメージ

コンビニ大手「ファミリーマート」の店舗で、防犯カメラに写った客の画像に「万引き犯です」と書き添えて、店の入口に貼り出していたことがわかり、問題になった。外部から同社に指摘があり、同社は店に指示して取り外させたという。

報道によると、千葉県内の店舗で、店内で不審な動きをしていた客について、店は防犯カメラの映像から万引き犯と判断した。その客の画像を約2週間にわたって、店の入口のガラスに貼り出していた。

店側は「注意喚起の意味で貼り出した」と説明しているというが、店側の「貼り出し」に法的問題がないのか。小野智彦弁護士に聞いた。

●形式的には名誉毀損に該当するが・・・

「本件は、名誉権の侵害の問題となるケースだと考えられます。不特定多数の者に対して、人の社会的評価を貶めるような言動を公開することは、真実か否かを問わず、名誉権の侵害(名誉毀損)の問題になります。

本件では、店内で不審な動きをしていた客について、防犯カメラの映像を画像化して、『万引き犯です』と書き添えて店の入り口に貼り出したとのことです。

具体的に、どのような画像が使われたかは不明ですが、一般的に、容姿が写った画像つきで万引き犯だと名指しすることは、その人の社会的評価を低下させるといえます。そのため、形式的には、名誉毀損にあたるでしょう」

小野弁護士はこのように指摘した上で、例外的に名誉毀損に当たらない場合に言及した。

「もっとも、その事実が、(1)公共の利害に関する事実で、(2)目的がもっぱら公益のためであり、(3)真実であることの証明があれば、刑事では罪になりませんし、民事でも不法行為にはなりません。

万引き犯が誰か、ということについては、周囲のお店にとっては共通の利害に関する事実でもありますので、(1)公共の利害に関する事実と言えましょう。

また、写真を公開した目的が、『個人的な恨みをはらすため』であればもちろんダメですが、『万引き防止のため』ということであれば、公益目的と言えるかと思います。

そして、『誰が見ても万引き犯だと特定できるような不審な行動』が映像に映っていたというのであれば、仮に真実性の証明ができなかったとしても、責任を問われる可能性は低いでしょう。その場合、真実だと誤信したことにやむを得ない事情があったと判断されるからです」

写真を公開したことについては、「写真付きで公開することはやりすぎ」「警察に証拠として届けるだけでよかったのではないか」といった声もあがっている。2014年8月には、マンガやグッズの中古ショップ「まんだらけ」が、万引き犯の写真を公開するとネットで告知して、「法的リスクが高い」と問題になった(最終的に公開は中止)。

「私としては、それくらいの見せしめは必要だと思いますし、貼り出した店側が法的責任を問われることはないと考えます。

新聞などのメディアでも、起訴されておらず、有罪判決も受けていない被疑者の段階で、写真付きで被疑者を公開することがあります。基本的には、同じように考えていいのではないかと思います」

(弁護士ドットコムニュース)

小野 智彦弁護士
浜松市出身。1999年4月、弁護士登録。オフィスは銀座一丁目。手品、フルート演奏、手相鑑定、カメラ等と多趣味。手品の種明し訴訟原告代理人、ギミックコイン刑事裁判弁護人、雷句誠氏が漫画原稿の美術的価値を求めて小学館を提訴した事件などの代理人を務めた。エンターテイメント法、離婚、相続、交通事故、少年事件を得意とする。
所在エリア:
  1. 東京
  2. 中央区
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