JR東日本は6月6日、山手線で導入が進むE235系の電車の車両に、2018年の春以降に防犯カメラを設置すると発表した。
同社の発表によると、対象となるのは、E235系通勤型車両の50編成、550両で、各車両のドア上部に4台設置する。
最近、電車内での痴漢トラブルが注目されているが、防犯カメラを設置することでトラブル解決のための証拠として役立つのだろうか。中原潤一弁護士に聞いた。
●一つの大きな証拠になりうる
防犯カメラ映像は、裁判において、一つの大きな証拠となりうると考えられます。
これまで、車内の防犯カメラ映像がない事件がほとんどでしたが、触った、触っていないの水掛け論になってしまうことも多く、またその際の周囲の状況を正確に記憶しておくことも難しいため、その状況を記録した証拠があるというのは、痴漢されたことを証明したい被害者にとっても、痴漢していないことを証明したい冤罪被害者にとっても、車内の防犯カメラ映像があることはプラスになると言えるでしょう。
三鷹バス痴漢冤罪事件などは、第一審こそ有罪判決となりましたが、車内の防犯カメラ映像が決め手となって控訴審で逆転無罪となっています。
●肖像権の問題
一方で、考えられる課題としては、電車に乗るすべての人が犯罪の有無に関係なく映像に記録されてしまうことから、肖像権が問題となりそうです。人はみな、勝手に自分の姿を防犯カメラに記録され、その画像がいつまでも保管されることには抵抗があるでしょう。
ですので、たとえ犯罪が行われたと疑われる際の状況を記録しておく必要があるとしても、その方法は、証拠の確保のために必要最小限度にとどめておくべきです。
運用するにあたっては、防犯カメラを設置している車両には、防犯カメラ設置していることを明示したうえで、録画データの保存期間についても1~2週間程度の短期間に限るべきでしょう。