田口 勤 弁護士 インタビュー
弁護士を目指したきっかけ
高校生くらいの時から「いつかは独立して自立したい」という単純な気持ちがあったからです。
しかし、実際、弁護士を目指して勉強をはじめてみたところ、弁護士ほど自由でやり甲斐のある仕事はないのではないかと思うようになりました。依頼者の方に感謝してもらい、お金を頂ける仕事というのは、弁護士のほかにはあまり無いと思います。
勤務弁護士(イソ弁)の間は、ボスの意向にある程度拘束される部分はありますが、その拘束が自分に合わなければいつでも独立して自分のしたい仕事ができます。
また、基本的に困っている人からの相談に応じてそれを解決する仕事ですから、依頼者から感謝される仕事といえます。相談し始めた頃に暗い顔をしていた依頼者の方が、明るい顔で帰っていくのを見ると、やりがいを感じます。
今までの経験と現在の仕事内容
弁護士になったばかりの頃は、本当に幅広くいろいろな事件をやりました。何十人もの相続人を相手にする土地の登記請求、相続争い、離婚その他の一般民事は当然。土地造成工事や建物の瑕疵、意匠権などの知財、遊園地のトラブルなど、企業に関する事件も数えきれないくらい担当しました。
その中でも、印象に残っているのは、弁護士に成りたてのころに提起したある保険金に関わる事件です。これは、生命保険会社を相手取った裁判でした。
生命保険をかけてから、1年以内にその方が自殺してしまった場合、保険金は支払われないという決まりがあります。しかしこの案件の場合は、生命保険をかけられていた方はうつ状態でした。私は、「被保険者は病気であり、自由な意思で自殺したわけではないので、病気が原因で亡くなったのである。したがって、保険金は払われるべきだ」という事を主張しました。
保険会社は、最初は払わない姿勢をとっていたのですが、証人尋問など裁判が進むうちに、ある立証責任に関する問題点を指摘したところ、生命保険会社は保険金の半分を払うといってきました。
このように、弁護士という仕事は、理屈で交渉相手や裁判官の考え方を変えられる仕事です。ここに私は魅力を感じています。
6年目に独立開業してからは、医療事故その他事故に起因する損害賠償の案件が増えたように思います。
弁護士10年目くらいからは、自治体行政についても関心を抱くようになり、自治体の包括外部監査人の補助者を3年ほど経験したあと、平成24年度名古屋市、令和元年度豊田市の包括外部監査人に就任し、自治体の監査業務を経験しました。
これは、都道府県や政令市、中核市などを中心に、弁護士・公認会計士など自治体外部の者が自分で監査対象を選定して行う監査です。公認会計士が8~9割がた就任していますが、愛知県弁護士会の委員会活動を通じて、そのような監査人には弁護士が適任であることを訴え続けてきたところ、弁護士会の推薦もあって就任する機会を得ました。
監査は公認会計士の仕事というイメージがついてしまっています。しかし、包括外部監査制度は、多発する不祥事を防ぐ目的もあって制定された制度ですから、公認会計士より、弁護士の方が適任だと思います。
簡単な仕事ではありませんが、市民の代表という意味もあり、やり甲斐のある仕事です。
弁護士としての信条、ポリシー
人の心に入り込むような仕事ができればと思っています。表面的に困り事を解決するというだけでなく、人の気持ちを理解して、心のコリをほぐすような仕事ですね。
依頼者の方は、法律に詳しくありませんから、話の中に事件解決には直接関係のないことも出てきます。しかし、それを関係ないからとないがしろにするのではなく、よく聞くことを大切にしています。ほとんど、カウンセラーや人生相談と同じような感じですね。でも、弁護士は、そうでなくてはいけないと思います。
たとえ結果が悪くても、最後に依頼者から「ありがとう」と言われるような関係を築くのが理想です。
関心のある分野
すべてに関心があるのが悩みです。なんでもやってみたくなってしまいます。何にでも手を出すことは、効率のいいことではありません。しかし、自分が満足できれば、効率が悪くてもいいではないかと思っています。興味を持った新しいことに挑戦することは、時間がかかりますが、とても楽しいことだと思います。