「ひとつでも多くの企業の力になりたい」地道な努力と入念な調査で企業の再建・発展をサポート
ニュースで見る弁護士の姿に憧れ
ーー弁護士を目指したきっかけや理由を教えてください。
小学生の頃から法律に興味を持っていて、図書館に行っては六法全書を開くという、今思えば少し変わった子どもでした。中学生になると、ニュースなどで、刑事事件の弁護人や民事事件の代理人として懸命に戦う弁護士という職業を知り、憧れを持つようになりました。
ーー注力分野とその分野に注力している理由を教えてください。
中小企業を中心とした企業の支援に注力しています。支援の内容は企業によってさまざまです。問題社員への対応や、ハラスメント対策をはじめとしたトラブル予防や、実際に起きてしまったトラブルの対処などの労務対策のほか、契約書作成やチェック、取引相手方との交渉、裁判などに対応しています。
また、企業再建にも力を入れています。たとえ廃業の危機に瀕していても、経営の問題点を見つけて改善すれば、事業を続けられる可能性があります。そういった状況にある企業を少しでも多く助けたいと思い取り組んでいます。
ーー企業再建は、具体的にどのような取り組みをしているのでしょうか?
まずは経営者と共に現預金の動向をチェックし、資金がショートしてしまう時期を算定します。次に、融資を受けたり、在庫を売ったりするなどして、資金ショートの危機を回避できるよう試みます。この危機を乗り越えれば猶予が生まれるので、その時間に改善策を探っていきます。様々な資料にあたって、中長期的に収益を出せるような戦略を立て、経営陣に説明し、理解してもらったうえで取り組んでもらいます。
真摯な姿勢を常に心がけ、経営陣との信頼関係を築く
ーー企業支援のやりがいを教えてください。
企業支援は、企業の将来を大きく左右します。労務環境を整えることが、よりよい人材の獲得や、企業全体の生産性の向上に繋がることもあります。経営陣と共に、「この企業を守っていく、発展させる」という気持ちで取り組めるところが大きなやりがいですね。
ーー経営陣との信頼関係を築く上で心がけていることは何ですか?
基本的なことですが、打ち合わせの際には必ず入念な準備を行うよう心がけています。具体的には、担当者が用意してくれた資料を事前に全て読み込み、自分なりに整理するようにしています。打ち合わせ当日には、こちらから率先して質問できる状態で臨みます。
このことを心がけるようになったのは、ある二つの出来事がきっかけでした。一つは、道を歩いていた際にたまたま近くにいたサラリーマン同士の会話を耳にしたことです。彼らは打ち合わせ相手に対し、「こちらは事前に準備したのに、相手方が全く準備してこなかったので、結局一から説明しなければならず効率の悪い打ち合わせになってしまった」と愚痴をこぼしていました。それを聞いた私は、「打ち合わせ相手に『中身の濃い打ち合わせだった』と思ってもらえるようにしたい」と強く思ったんです。
もう一つは、『下町ロケット』というドラマを観たことです。町工場を経営する主人公の奮闘を描いた物語の中で、町工場が特許を巡り大企業と争うことになるのですが、その際に主人公は膨大な量の資料を準備し、打ち合わせ前に弁護士に渡すんです。
打ち合わせ当日、その弁護士は資料にびっしりと付箋をつけていて、主人公が改めて説明しようとするとそれを遮り、自ら質問を次々と投げかけてきました。その弁護士の姿に誠意を感じた主人公は、迷うことなくその弁護士に依頼することを決めたんです。これはフィクションの中だけではなく、現実の世界でも同じことが言えると思いますね。
真摯に取り組もうとする姿勢を見せることが、経営陣との信頼を築く上で重要だと思います。
ーー経営の知識を身に付けるために、どのように勉強されていますか?
経営について学べるセミナーに参加することもありますが、経営者とのプライベートの場での雑談から学ぶことも多いです。経営者が普段どのように考え、行動しているのかを知ることは、私自身にとっても大きな刺激になっています。
ーー弁護士として活動をされてきた中で、印象に残っているエピソードを教えてください。
ある著作権の裁判で、勝訴判決を得た瞬間に仲間の弁護士や依頼者とガッツポーズをしたことが印象に残っています。
裁判の相手方となった会社は、民放のテレビ番組をマンションの管理室内の装置で大量に録画し、住民が曜日や時間に関係なく好きな番組を見ることができるという装置を販売しました。それに対して、民放各社が著作権侵害を訴えたという裁判でした。民放各社がそれぞれに代理人を出して、弁護団を組み、私もその一員として参加しました。
著作権を直接侵害しているのは、装置を使って録画しているマンションの管理室や、それを視聴する住民なのですが、会社もそのような装置を販売し利益を得ることで、間接的に著作権を侵害していると言えるのではないかという点が争点になりました。前例のない主張だったので、認められるか最後までわからず、法律論としても興味深い論点でした。
このような主張を裏付けるために、周辺のマンションの実態調査をしました。この装置がどの程度広まりつつあるのか、同様の装置を販売する会社の中でも被告が過度に利益を追求していると言えるのではないかを調べるために、不動産ディベロッパーやマンションの管理会社に片っ端から弁護士会照会をかけました。弁護士会の担当者にも「また今日も照会を出すんですか」と言われるほどのペースでしたし、当時の記録には弁護士会照会の書類がずらりと並んでいます。
このような訴訟活動の甲斐があり、最高裁まで争われましたが勝利することができました。地裁で最初に勝訴判決が出たときには、それまでの苦労が報われたことが嬉しくて、仲間の弁護士や依頼者と自然とガッツポーズが出ました。
どんな悩みでも必ず光は見える
ーー今後の展望についてお聞かせください。
より一層企業支援に力を入れていきたいと思っています。顧問契約を結んでいても、「まだそれほど深刻化していない」「弁護士に相談するのは時期尚早」と相談をためらう担当者の方もいます。オンラインミーティングなども活用しながら、相談の敷居をどんどん低くしていきたいです。
また、経営陣だけでなく顧問先で働く労働者の支援(EAP)にも取り組んでいきたいと思っています。より仕事に集中できる環境を整えることで、さらなる企業支援に繋がると考えています。
ーー最後に、トラブルを抱えて悩んでいる方へ、メッセージをお願いします。
どんな悩み事でも、必ず光は見えます。一人で抱え込んでしまうと、ますます打開策が見えにくくなってしまいます。具体的な道を示してあげるのが弁護士の最初の役割だと思いますし、それによって着実に出口に向かって歩き出すことができます。弁護士に相談すべきか少しでも悩んでいるのであれば、迷わず相談していただきたいなと思います。