地元の人と関わりながら、地域に密着した活動に尽力〜東京で培った経験を沖縄で活かす
ヒッチハイクを通じて人助けの喜びを知った
ーー弁護士を目指したきっかけや理由を教えてください。
もともと組織に属して働くよりも、自分の力で結果を出す仕事をしたいと思っていました。また、人と関わることが好きだったので、多くの人に関わる職業に就きたいと思ったんです。
数ある職業の中から弁護士を選択したのは、父の影響があったかもしれません。父が弁護士でしたので、幼い頃から弁護士の働き方を近くで見ていました。大学3年生になって就職について考えたときに、自分の理想は父のような働き方ではないかと思い、弁護士を目指すことを決意しました。
ーー学生時代はどのように過ごされていましたか?
大学時代に、ヒッチハイクで日本一周をしたことがあるんです。いろいろな場所に行くことが好きで、本格的に司法試験受験に取り組む前にやりたいことをやっておこうと思って始めました。
ヒッチハイクを通じて多くの人と出会い、いろいろな経験をしました。サンタクロースの姿で子どもにプレゼントを渡すボランティアに参加したり、与那国島では小学校の運動会に参加して、親のいない子どものために親代わりになって競技に出たりもしました。
ヒッチハイクでは学びを得ることが多く、人と関わることが改めて好きになり、誰かの役に立つことの喜びを実感しました。ヒッチハイクをしたことが、弁護士になりたいという気持ちをさらに強くしたと思います。
ーー現在の事務所を開設されるまでの経緯を教えてください。
ロースクール時代に、薬害エイズ訴訟などの弁護団に参加していた弁護士の授業を受けて、弁護団の活動に興味を持ちました。法律という枠組みの中だけで解決するのではなく、必要ならば法律そのものを変えて救済するという姿勢に感銘を受けて、東京にある人権活動に積極的な事務所に就職しました。
そこで4年ほど経験を積み、独立して現在の事務所を開きました。私の出身は埼玉なのですが、妻が沖縄の生まれで、以前から地方で暮らしたいという思いがあったものですから、独立を機に沖縄に引っ越してきました。
豊見城市にある私の事務所は、沖縄本島で最南端にある弁護士事務所になります。那覇市には多くの弁護士事務所がありますが、豊見城市周辺には数えるほどしかありません。沖縄に住む人が司法にアクセスしやすくなるように、地域に密着した活動をしたいと思いこの地を選びました。
結果がすべてではなく、依頼者の求めているものが大切
ーー注力分野を教えてください。
取り扱いが多いのは不動産関連です。顧問先に不動産会社や建築会社が多いことから、自然と注力するようになりました。
不動産に関する問題は、不動産業者や司法書士、建築士、税理士など多くの人が関わります。もともと人と関わるのが好きということもあって、専門家たちと連携しながら事件を処理し、ワンストップで提供することを得意としています。
不動産分野は一つの事案に対して解決までのルートが多く、工夫が活きる分野だと思います。例えば不動産売買に関する事案であれば、法的観点だけでなく、税務的な観点もあり、不動産業者の観点もあります。どのルートを選択して、どういう解決に導くのが依頼者にとって最善か、経験と知識と知恵が問われる分野なので、とてもやりがいを感じます。
ーー仕事をする上で心がけていることはありますか?
相談に来る方の多くはトラブルに遭って不安を抱えているので、少しでも不安を解消できるように、解決までの道筋をしっかりと立てて話すことが大切だと思っています。
依頼者の希望を必ずしも叶えられるわけではありません。中には実現が難しいこともあります。そのようなときに「無理です」と遮るのではなく、最後まで話を聞いて、「この方法は難しいけど、こういう方法なら可能です」というように選択肢を用意しながら、丁寧に説明するように心がけています。
ーーこれまでの活動で印象に残っているエピソードはありますか?
医療事件で、家族の死因に疑念を抱いた遺族から相談を受けたことがありました。遺族が病院から伝えられた死因は窒息死でした。事故などと関係なく窒息死などありえるのか、病院の医療ミスがあったのではないかと疑いを持ち、相談に来られたのです。
依頼を受けて丹念に調査した結果、依頼者の家族の死に事件性はなく、病院に責任追及するのは難しいと判断せざるを得ませんでした。しかし、それで終わらせてしまっては依頼者の気持ちは晴れません。私は病院を説得し、依頼者への説明の場を設けました。
病院の説明を聞いて、依頼者は納得したようでした。依頼者が本当に求めていたのは、慰謝料ではなく真実だったのです。医療ミスを疑っていた依頼者は、「この病院に入院させたから死なせてしまったのではないか」と、ずっと自分を責めていました。病院の丁寧な説明と私の調査結果を受けて、家族の死を受け入れることができたのだと思います。
「止まっていた時間が動いたような気がします。これで、お墓参りにも行くことができます」という依頼者の言葉が印象に残っています。
裁判に勝つことや慰謝料を獲得することだけが、依頼者を救うのではないと実感した事件でした。
地域に密着し、弁護団活動にも取り組む
ーー趣味や休日の過ごし方を教えてください。
アウトドアが好きで、山登りやスキー、スノーボードなどが趣味です。子どもが生まれてからは、趣味の時間よりも子どもと過ごす時間が増えました。子どもが動物好きなので、動物園や水族館に行ったりして遊んでいます。
ーー今後の展望についてお聞かせください。
事務所のある豊見城市は若い人が多く、とても活気のある街です。子どもも多く、人口の増加と都市化が進んでいます。その中で、弁護士という立場から地域の発展に役立つサポートをしたいと考えています。
東京の弁護士事務所で働いていたとき、商店街の組合と一緒に街の再開発に携わったことがあります。沖縄でも、地元の人と関わりながら、地域に密着した活動をしていきたいです。
また、弁護団の活動にも参加したいと思っています。独立してからはなかなか関わることができずにいるのですが、沖縄には米軍基地問題などがありますので、社会的意義のある活動にも取り組んでいきたいと思っています。
ーー最後に、法律トラブルを抱えて悩んでいる方へメッセージをお願いします。
自分が抱えている問題が、弁護士に相談していい内容なのかわからない方も多いと思います。弁護士が解決できる問題なのか、一般の方には判別が難しいと思いますので、不安に感じていることがあれば、どんな内容でも相談してください。
相談した結果、弁護士が扱う内容ではなかったとしても、それは問題解決に向けて一歩前進したと言えると思います。弁護士が直接関わる内容でない場合も、どのような解決方法があるかアドバイスすることはできますので、一人で悩みを抱えこまず、相談しに来てください。