
20年以上の検事としての経験をもとに刑事事件に注力
「刑事事件は時間との戦い。依頼者への対応は迅速、的確、丁寧に」
ーー法曹を目指したきっかけと、その理由を教えてください。
大学生の時、ロッキード事件で当時の首相だった田中角栄が逮捕される様子を目の当たりにしました。「最高権力者でも、法律に違反したら処罰されることがあるのか」と驚くとともに、素朴に「法律ってすごいな」「法律関係の仕事は面白そうだな」と思いました。振り返ると、このことが法律家を目指そうと思った最初のきっかけだと思います。
ーー検察官を経て、現在は弁護士として活動されています。もともと検察官を目指していたのですか。
刑事事件に興味がありましたので、大学で刑事訴訟法のゼミを取り勉強しました。その関係で、自然に検事の仕事をしてみたいと思うようになりました。検事をやってみると、今度は検事経験を生かして余生は刑事弁護でご恩返しをしたいと思うようになりました。
ーー注力している分野を教えてください。
刑事事件に注力しています。扱っている全事件の約95パーセントは刑事事件ですね。
刑事事件は時間との戦いですから、依頼者への対応は、迅速、的確、丁寧であるよう常に心がけています。
ーー具体的にはどういったことを心がけているのでしょうか。
依頼者には、できるだけ親しみやすい雰囲気を作り、自由に真相を語ってもらえるようにしています。依頼者が遠慮せず何でも弁護士に話してくれる関係を作ることが、正確な仕事につながります。依頼者に対してどういう接し方、話しかけ方をすればいいのか、常に考えていますね。依頼者のお話を時間をかけ、丁寧にお聞きすることも大事だと思っています。
また、迅速で的確な対応をするためメールを活用しています。電話の方が早く、多くの内容を話せるからいいという意見もありますが、時間が経つと互いが部分的であっても忘れてしまうことがあります。メールだと内容を正確に書き、伝え、残せますので、後で何度でも読み返すことができます。「言った」、「聞いてない」といった不毛なやりとりもなくなります。
PCのディスプレイは、できるだけメール画面を出しておくようにしています。依頼者からメールが来た際、すぐに内容を確認できるし、即座に返信できます。またPC受信メールは、携帯電話に転送されるよう設定しているので、出先でも休日でも迅速に確認や返信の対応ができます。LINEと同じくらいの素早さで返信できるよう心がけていますね。
依頼者は、いつも迅速なレスポンスを求めています。ご不安をかかえているからです。弁護士からなかなか返事が来ないと軽んじられている気持ちにもなり、腹立たしく思ったり、不安になったりすることもあるでしょう。それをなくすためにも、とにかく素早く返信することを意識していますね。私たちの生活にも通じることですが、常に相手が何を求めているかを考え、できるだけそれに沿って行動するべきだと考えています。
元検察官の目で、検察側の証拠を厳しくチェックする
ーーこれまで取り組んだ案件のなかで、印象深いエピソードがあれば教えてください。
検事時代を含めると、数え切れないほどの事件に関わってきたので、どれが印象的だったと選ぶのは大変に難しいですね。プロフィールページの「解決事例」にも記載したのですが、無罪判決を得たり逮捕勾留されて不起訴処分を得た事件は、強く印象に残っています。
ーー依頼者が無罪だと訴えている事件の弁護人を担当するときは、どのようなことを心がけているのでしょうか。
まず、依頼者の言い分をしっかり聞いた上で、「やっていない」という依頼者の話を鵜呑みにするのではなく、「この話は間違っているのではないか」という視点を持つようにします。そうした視点から依頼者の話を吟味し、「間違っていると疑うこと自体が不合理だ、成り立たない」という結論に至れば、本人の「やっていない」という話は正しい、無罪主張を貫くべきだという確信に至ります。
もうひとつは、警察や検察の捜査資料を十分吟味し、弱点を見つけることです。依頼者が犯罪をやっていないのであれば、捜査資料のどこかに弱点が見つかることが多いです。警察や検察は、有罪と判断してもらおうとし、筋書きと矛盾する証拠は集めない、作らない、できるだけ小さく扱うようにします。詳しく書ける内容や本来触れられるべき内容が触れられていないといった捜査資料は、疑いの目でもって厳しくチェックします。
ーー検察官としての経験が活きているのはどういった点ですか。
検察の動きをある程度予測できることでしょうか。「自分が検事だったら、これは起訴するな」「検察がこの時期にこういう動きをしているということは、こう考えているのだろうな」といったように、検察の動きを予測することができます。
ーー弁護士としての信念をお聞かせください。
おかしいと感じることに対しては、最後までおかしいと言い続けることですね。これまで多くの人が正しいと信じて疑わなかったことでも、必ず正しいとは限りません。経験、勘、相場に基づいて物事をとらえるのではなく、予断や偏見をもたずに事実を調べ尽くしたことを元に自分自身の頭で考えるようにすることが、私の弁護士としての信念です。
ーー休日をどのように過ごしていますか。
ここ数年、休日らしい休日はありません。土日祝日も、お正月も仕事をしていますね。ただ、週に1、2回は、ストレス解消のために、テニスをしたりジムで筋トレをしたり泳いだりしています。
ーー今後の展望をお聞かせください。
弁護士になりたての頃、全ての分野に対応できるよう勉強を始めましたが、ふと「この先の人生はそれほど長くないので、何か一つの分野を極めたほうがいいのではないか」と思いました。
弁護士生活も6年となり、目標はある程度達成できたかなと思っています。残りの弁護士人生は、刑事事件専門に取り組んでいけたらと考えています。
ーー法律トラブルを抱えて悩んでいる方に、メッセージをお願いします。
辛くて耐えられないと思うときは、是非、弁護士に相談してください。弁護士に相談することで、あなたの苦しさを減らすことができるかもしれません。遠慮なく弁護士を頼ってください。