- 加害者
- 暴行・傷害
実行行為の不存在による無罪獲得事例
相談前の状況
被疑者は,「自称被害者」の男性を「殴り」「足で蹴った」という傷害容疑で
逮捕,起訴されました。現場の「目撃者」は,「自称被害者」と「その友人女性」
2人しかいないところ,被疑者は当初から一貫して「暴行を加えた事実」という
実行行為の存在自体を否定して,無罪を争っていました。しかしながら,警察は
被疑者の言い分に一切耳を貸しませんでした。
解決への流れ
起訴前段階から事件現場を訪れ「現場の状況」を注意深く観察しましたところ
現場には「高低差」があり,「自称被害者とその友人女性」が主張するような
行為と受傷箇所には食い違いが生じることに着目しました。更に「自称被害者
とその友人女性」の供述・証言を前提にするならば,彼らが主張するような
「攻撃」は不可能であることが判明しました(被害再現写真と供述の矛盾)。
そして検察官立証のタイプが「直接証拠型」即ち,「目撃証言による直接の
証明型」であったことから,その「目撃証言の矛盾や不合理性」を丁寧に
拾い上げることで,その信用性を崩し,以て「犯罪の証明不十分」による
無罪判決を獲得しました。
吉岡 和紀 弁護士からのコメント
本件では「そもそも自称被害者が主張するような暴行があったのか」という
客観的事実の存否が問題となりました。検察官がどのような構造で犯罪事実を
立証しようとしているのかを考察したところ,それは「目撃証言のみ」しかも
その目撃者とは「自称被害者とその友人」のみであり,利害関係のない第三者
の証言はありませんでした。このような場合でも,被疑者はその言い分を捜査
機関には信用して貰えず,自称被害者からも責められ,「一方的に悪者」扱いを
されていました。ですが冷静に客観的証拠を見極めた上で双方の言い分を検証
してみると,「嘘は必ずほころびが出ます」。無罪を主張する場合には,基本
周りは全て被疑者・被告人の「敵」となってしまい,その四面楚歌の状況に
精神的に押しつぶされる被疑者・被告人も少なくありません。だからこそ,
少なくとも弁護人は被疑者・被告人に寄り添い,その方が叫ぶ「真実の声」に
耳を澄まし,「正義」とされている主張に嘘はないか,ほころびはないかを
鋭くチェックしていくことが必要と痛感した事例でした。
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