労働問題の解決事例
  • 不当解雇

方便的な解雇撤回を争い,タイムカードがなくても平均的な残業代を請求した事件

40代 女性
この事例の依頼主 40代 女性

相談前の状況 クライアントは,陸送会社の配車係をしていました。ある日突然,社長から,解雇を通告されました。クライアントは,解雇に納得いかず,社長に対して,解雇理由を明らかにするように求めましたが,社長は,あいまいなことしか言いませんでした。

クライアントは,解雇理由証明書を請求したところ,会社からは,解雇理由は「会社都合」とのみ記載されていました。

解雇に納得いかないクライアントは,会社に対して,一矢報いたいという思いで,ご相談にいらっしゃいました。

解決への流れ 解雇理由が不明ですので,解雇無効を主張できる事案である考えました。

また,クライアントの話をきいていると,長時間労働にもかかわらず,残業代が支払われていませんでした。

そこで,解雇無効による地位確認の請求と未払い賃金の請求,未払い残業代請求をすることに決めました。

もっとも,相手方の会社は,タイムカードなどで労働時間の管理をしていなかったので,クライアントが使用していたパソコンのログデータを入手しなければ,労働時間を証明することができませんでした。

そこで,パソコンのログデータを確保するために,証拠保全の申立をしました。

徳田 隆裕 弁護士 徳田 隆裕 弁護士からのコメント 証拠保全を実施しましたが,残念ながら,パソコンのOSがアップデートされた結果,クライアントのログデータが消去されていました。

しかし,クライアントが退職前3ヶ月間の土日のログデータを写真撮影していたので,その写真をもとに,平均的な残業代を計算して請求しました。

会社には,タイムカード等で労働時間の管理をする労働時間把握義務があるのですが,相手方は,それを怠っているので,平均の労働時間で残業代が認められるべきだという主張をしました。

また,相手方の会社は,解雇の撤回を請求したところ,あっさりと解雇を撤回して,復職するように主張してきました。

しかし,相手方の主張する職場復帰の条件が,クライアントを配車係から一般事務へ配置転換して,給料を解雇前から約8万円減額させるというもので,到底クライアントが受け入れられる条件ではありませんでした。

 そこで,相手方の方便的な解雇撤回は認められず,解雇によって破壊された信頼関係が回復していないことを理由に,相手方が解雇を撤回しても,クライアントは,未払い賃金を請求できると主張しました。

労働審判の第1回期日で調停が成立し,相手方から,約1年分の給料に相当する解決金
を支払ってもらうことで解決しました。

 最近,会社は,解雇が無効になる可能性があると,方便的に解雇を撤回して,復職を求めてくることがありますが,信頼関係が回復されていないのであれば,復職しなくても,未払い賃金を請求できるときがあります。

 また,タイムカードがなくても,あきらめずに証拠を探し出すことで,未払い残業代が認められることがあります。

 労働者にとって不利な状況であっても,あきらめずに対応した結果,労働者が納得できる解決が実現しました。

徳田 隆裕 弁護士
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